最近、複数の方から「ペンギンは魚を食べるとき頭から飲み込むけど、マグロはどうなの?」という質問を受けました。確かにカワセミやサギのなかまなど、ペンギン以外でも魚を食べる鳥は、ひれやうろこがのどに引っかからないよう、魚を頭から飲み込んでいるようです。
さて、マグロはどうかと考えてみると、尾の方をくわえてしまったマグロが、頭から飲み込むためにくわえ直しているという場面は見た記憶がありません。
そこで、毎日14時30分からおこなっているマグロのえさやりで実際に確かめてみました。えさのアジがあまり大きくないこともあってか、頭の方向を気にして食べているようには見えません。しかし、一瞬で飲み込んでしまうため、本当に頭以外からも飲み込んでいるのかよくわかりません。
マグロへの給餌は基本的に1日1回、14時30分から
そこで以前、クロマグロがえさを食べるようすをスローモーションで撮影したことを思い出し、映像を見返してみました。
【スローモーションで撮影したクロマグロがエサを食べるようす(2008年撮影)】
スローモーションで見てみると、尾から飲み込んだり、体の横からだったり、とくに気にしているようには見えませんでした。中には何匹もまとめて一気に飲み込んでいるマグロもいて、頭の方向は関係なさそうです。
まさにアジを飲み込もうとしているクロマグロ。口には小さな歯が並んでいる
それよりもスロー映像を見て驚いたのは、硬くてあまり動かないと思っていた第2背びれがわりと動いていることでした。最後の2個体の映像を見てみると、頻繁に出し入れしている第1背ビレだけでなく、その後ろにある第2背ビレも積極的に動かしてバランスをとっているように見えます。自分にとって新たな発見でした。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2016年02月26日)