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大きな口で食べているえさは? グルクマの食事
 └─2015/10/30

 葛西臨海水族園の「大洋の航海者:サメ」水槽で、2015年10月1日からグルクマの展示を始めました。グルクマはクロマグロやスマと同じサバ科の魚で、成長すると全長40センチほどになります。今回展示したのはまだ20〜25センチほどですが、200尾ほどの群れでまとまって泳ぐようすは見応えがあります。


 群れの動きを見ても面白いのですが、グルクマの口に注目してください。写真ではちょっとわかりづらいのですが、閉じている口をよく見ると、顎の切れ込みが目の後ろまで達しています。水族園で見られる同じサバ科のクロマグロやスマでは、顎の切れ込みは目の下までは達しておらず、グルクマの口が相対的にとても大きいことがわかります。この大きな口で、グルクマはどんなえさを食べているのでしょう。

 この水槽では、アカシュモクザメ、ツマグロ、ウシバナトビエイ用のえさとして、大きめに切ったアジやイカ、丸ごとのアマエビなどを与えていますが、水面近くを泳いでいるグルクマは真っ先にそれらのえさに群がり、パクパクと“食べ”始めます。大きなえさを口に入れたグルクマをしばらく観察していると、口をもごもごさせてなかなか飲み込みません。吐き出してはまたすぐ口に入れてを繰り返したり、他のグルクマと取り合いになったりしているうちに、サメに取られてしまうことがほとんどのようです。


 一方、水面近くで口を大きく開けたまま泳いでいるグルクマがいます。これはえさを食べるときに見られる行動ですが、泳ぐ先にえさは見あたりません。じつはサメがアジやアマエビなどを食べるとき、細かくなったえさの破片が少なからず生じ、水中をただよいます。グルクマはそれを食べようと、ひときわ口を大きく開けて泳ぎ、えらにある「鰓耙」(さいは)と呼ばれるくし状の構造を使ってこしとっているのです。小さなえさが鰓耙にたまると口を閉じて飲み込みます。この食べ方は、同じ水槽にいるマイワシなど、小さなプランクトンを食べる魚で見られます。

 もちろんグルクマのえさはこの「破片」だけではありません。サメやエイのえさが終わったあと、続けてグルクマやマイワシには小さなペレットを与えており、いっせいに大きな口を開けて泳ぐようすが見られます。

 「大洋の航海者:サメ」水槽では、毎週火・木・土・日の14時からサメやエイに給餌をしています(給餌の曜日と時間は都合により変更することがあります)。また、グルクマやマイワシには毎日、不定時にペレットを与えています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 児玉雅章〕

(2015年10月30日)


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