葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「東京湾の漁業」水槽でスズキの展示を始めました。
水族園では葛西海浜公園の人工干潟「西なぎさ」で地曳網による生物採集調査をおこなっています。今回、展示を始めたスズキは、昨年(2014年)4月に実施した地曳網調査で採集した個体です。採集時の稚魚の全長は3〜4センチ。スズキの産卵期が12月から1月なので、生後3〜4か月の個体だったと思われます。
地曳網による生物採集調査
当初は水族園の地先の海を再現した「葛西の海1」水槽で展示していましたが、全長10センチほどの幼魚に成育し、水槽が手狭になったため一度バックヤードの水槽に移動しました。その後順調に成長し、全長15センチを超える大きさになった今年の9月上旬、もっと広い「東京湾の漁業」水槽に移しました。
広い水槽に移したスズキ
スズキといえば、成魚は全長約1メートルにまで成長する魚で、近年はルアー釣りの対象魚として有名です。また、成長とともに名前が変わる出世魚でもあります。地域によって呼び名はさまざまですが、関東では「コッパ→ハクラ→セイゴ→フッコ→スズキ」と体の大きさによって呼び名が変わっていきます。
全長15~30センチくらいの一歳魚は「セイゴ」と呼ばれ、展示している個体もこの大きさです。「スズキ」と呼ばれる全長60センチ以上の成魚にくらべればまだまだ小さく、同居しているマイワシやコノシロにまぎれてしまっています。
しかし、他の魚たちに負けず劣らずとても食欲旺盛で、採餌の際は、大きな口をパカッと開けてえさを丸ごと飲み込むという、スズキらしい行動を見せてくれます。今後もさらに大きくなっていくことでしょう。水槽内を悠々と泳ぐ東京湾生まれ水族園育ちのスズキをぜひご覧ください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕
(2015年09月25日)