「四つ葉のクローバー」を見つけるとよいことがあると言われています。ほとんどが三つ葉のなか、とても数が少ないの四つ葉のクローバーを見つけられたらラッキーということでしょう。こう考えると、「メスのチゴガニのバンザイ」を見つけられたら、きっとあなたはラッキーです。
左:ウェイビングをするのはハサミの大きなオスがほとんど
右:ハサミの小さなメスのウェイビングを見つけたらラッキー!
チゴガニは、宮城県以南の干潟にすむ甲幅1センチほどの小さなカニです。春から夏にかけて、おもにオスが大きなハサミを振り上げてはストンと振り下ろす「ウェイビング」と呼ばれる興味深い行動をします。この行動はまるで「バンザイ」をするしぐさに見えます。
このウェイビングは、繁殖期にオスがメスに対して行う求愛行動とも考えられています。フィールドではあたり一面、数百匹ものチゴガニの白いハサミが、ときには同じタイミングでリズミカルに揺れ動く光景は圧巻です。
そんななか、よく注意して観察してみると、ごくごくまれに、さらに小さなハサミがかすかに動いていることがあります。これはメスのチゴガニがウェイビングしているのです。カニ水槽でも10〜20匹ほどのオスがウェイビングしているなかで、まれにメスのウェイビングが見られますが、飼育担当者でも今まで数えるほどしか確認できていません。
積極的なメスがオスに求愛行動をしているのか、はたまた別の意味があるのか……。じつは、このウェイビングの意味ははっきりとはわかっていないようです。求愛行動以外にも、縄張りを主張するなどの意味もあるようです。
いずれにしても、カニ水槽で、「四つ葉のクローバー」ならぬ「メスのチゴガニのバンザイ」を見つけられたら、あなたはラッキーですよ。
・関連ニュース:「
真冬のチゴガニの求愛ダンス?」(2013年1月11日)
〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕
(2015年07月10日)