今年の夏至である6月22日が過ぎ、まもなく節分や彼岸といった雑節の1つである「半夏生」(はんげしょう)を迎えます。この頃には梅雨があけ、畑仕事や田植えを終える節目の日でもあるのだそうです。
ハンゲショウの花
夏の暑さを感じ始めるこの時期には、ハンゲショウの花がちょうど見ごろを迎えます。ハンゲショウという名前の由来は、一説によると半夏生の頃に花を咲かせるからとも、上部の葉が白くなり「半化粧」になるからとも言われています。
ハンゲショウの白くなった葉
今年の半夏生を目前に、「水辺の自然」エリアでもハンゲショウが花をつけ始めました。現在ハンゲショウが見られるのは、人工の小川「流れ」のほとりで、ニホンコウノトリやタンチョウの展示場内です。「流れ」は高度経済成長期以前に東京近郊に見られた河川を再現した水槽で、今では見る機会の減ってしまったハンゲショウなどの水辺の植物を植栽してあります。
「流れ」にかかる橋の上からは、鳥たちが川の中に入り餌を探すようすを間近で観察することができます。川面をのぞき込んでみると、葉の一部が白く変わったハンゲショウをすぐに見つけることができます。そして、白い葉の付け根を探すと、花びらをもたない小さなハンゲショウの花が白い稲穂のように連なって咲いているようすがわかります。
水族園の「水辺の自然」エリアでひっそりと咲くハンゲショウを眺めながら、夏の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕
(2015年06月26日)