ニュース
オオイワガニのその後
 └─2015/04/10

 こちらの約1年前のニュースで、葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「小笠原の海2」水槽に新しく入ったオオイワガニをご紹介しました。当初は2匹のオオイワガニを展示していましたが、その後1匹になり、今年(2015年)4月1日、あらたに1匹を追加しました。


左:1年前に入った個体 右:新しく入った個体

 前回のニュースでは、タマカエルウオとの同居試験をクリアしたオオイワガニが、タマカエルウオのえさを横取りしないよう、大きなえさを手渡しする訓練についてお話ししました。今回は、1年間の訓練を経たオオイワガニの今のようすをお知らせします。

 当初は、えさを付けた棒をオオイワガニに近づけようとするだけであっという間に逃げてしまいました。カニのなかまはもともと警戒心が非常に強く、身の危険を感じると、すぐに姿を隠してしまう生き物なのです。それでも毎日、棒を根気よく近づけて慣らしていき、オオイワガニにとって棒は危険なものではなく、「棒が伸びてくる時」は「えさがもらえる時」であることを少しずつ覚えさせるようにしました。

 その結果、今では棒を見ると自分から近づいて来るようになり、スムーズにえさを渡せるようになりました。

 現在、オオイワガニのえさは開園中に与えています。来園者の方が見守る中、オオイワガニの1〜2センチほど横にえさが来るように棒をかざすと、次の瞬間、サッとオオイワガニがえさに走り寄り、瞬く間にえさを抱え込んでしまいます。

 それまで置物のようにじっと動かなかったオオイワガニが突然すばやく動き出したため、見ている方はどなたも「まさかこんなに速く動くなんて!」と驚かれたようです。

 えさは毎日与えています。時間は不定期ですが、「小笠原の海2」水槽でちょうど給餌の時間だったら、ぜひ足を止めてオオイワガニの「切れ」のある動きをご覧ください。また、もう1匹のオオイワガニはこれからえさを受け取る訓練を始めます。棒から逃げるオオイワガニがいたらそれは新入りですので、暖かく見守ってください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕

(2015年04月10日)


ページトップへ