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クロマグロ等の展示について
 └─2015/03/27

 葛西臨海水族園の展示水槽「大洋の航海者:マグロ」では、2014年12月から1月にかけて展示中のクロマグロ、スマ、ハガツオの死亡が続いた結果、2015年3月27日現在、展示しているのはクロマグロ1尾となっています。
 今回の大量死の原因究明に向けて、これまで病気や飼育環境など、個別の要因について調査してきましたが、大量死をもたらす2種(マダイイリドウイルス病・ウイルス性神経壊死症)のウイルスは検出されないなど、これら個々の要因を原因として特定するには至っておりません。

 ・ニュース「クロマグロ等のこれまでの病理検査状況について」(2015年3月3日発表)

 このように原因が特定できない状況の中で、専門家の意見も受け、水槽の環境を安定させて、段階的に展示機能の回復を目指していくこととしますのでお知らせします。

1.これまで調査してきた水槽環境に係る個別の要因

・病気(寄生虫、細菌、悪性のウイルスなど)
・水環境(水温、酸素欠乏、水質など)
・飼育環境(新規個体の追加、給餌量など)
・外部刺激(音、光、振動など)


2.引き続き行う調査

(1)酸素の過飽和試験の実施
 酸素の過飽和による影響の疑いもでてきたため予備水槽で実験を実施します。

(2)日本大学で検出されたウイルスの解析
 これまで分析したウイルスの種類の特定に向け継続調査をします。


3.大量死の原因

(1)複合的要因
 今年度は5年ぶりのクロマグロの産卵があり、活動量が増加する期間がこれまでになく長期となる中で、音や光など、マグロ類の行動を不安定にする個別の要因が複合的・継続的に発生し原因となったことも考えられますが、学術的な知見がなく断定はできない状況です。

(2)専門家の意見
  • ウイルスの正体はわからないが、判明してもそれが大量死の原因とは特定できない可能性がある。
  • 現在のマグロ水槽に仮に病原体が残ったとしていても、生き残っている個体が外見的に健康な状態であれば、外に病原体をもらすことはないので、魚を入れても通常は大丈夫である。
  • マグロ類に近い種類の魚を少しずつ入れて様子を見ていくのも一案。その状態で、特段の異常がなければ、クロマグロを戻していくのがよいのではないか。


4.展示回復に向けた今後の予定

第1段階(3月31日から4月初旬)
 アカシュモクザメ2または3尾、タカサゴ 約500尾を追加し、水槽内の環境が安定してきていることを確認します。

第2段階(4月中旬から5月中旬)
 第1段階の試験の結果を踏まえ、マグロ類の展示回復を目的に、同じサバ科魚類のスマとハガツオを追加する予定です。

第3段階(6月中)
 第2段階の結果を踏まえ、小さいサイズのマグロを追加する予定です。


5.2015年3月31日の生物の追加

追加生物種および数 アカシュモクザメ 2または3尾 
          大水槽の擬岩側に追加予定です。

 ※3月31日(火)の開園時より展示をご覧いただける予定です。


参考

アカシュモクザメ Sphyrna lewini
 全世界の温帯・熱帯域に広く分布し、日本では北海道南部以南で見られる。特徴的な形の頭部を持つことで知られ、大型の水槽をもつ水族館で展示され人気がある。当園でも「大洋の航海者:サメ」水槽で展示中。全長4mほどになる大型のサメ。

タカサゴ Pterocaesio digramma
 奄美大島以南、小笠原諸島以南、インド・西太平洋の亜熱帯・熱帯域で見られる。沿岸の岩礁域やサンゴ礁域の周辺に群れで生息する。沖縄県では県魚となっており、沖縄の方言で「グルクン」と呼び、一般にはから揚げのほか、刺身、焼き魚など産業重要種となっている。

アカシュモクザメ
タカサゴ

(2015年03月27日)



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