3月14日はホワイトデー。2月にチョコをもらった方ももらえなかった方も、心の思いを伝えるチャンスとなる日かもしれません。
心に抱く思いといえば「ハート」。ハートの形に気持ちがなごむ方もいらっしゃるでしょう。
先月、2015年2月に葛西臨海水族園の職員がおこなったカナダ西海岸での採集出張の際、海中で興味深いハートを採集しました。その名も、「ハートクラブ」(heart crab)、つまり「ハートのカニ」。そのハートクラブをトピック水槽に展示しました。
ハートクラブ(学名
Phyllolithodes papillosus)はタラバガニ科のカニで、最大でも甲長9センチの小型種です。「カニ」(crab)と名がついていますが、ヤドカリに近い甲殻類です。アラスカから南カリフォルニア沿岸の冷水域に分布し、岩場と砂地が混在するような環境に生息しています。甲羅の背面に大きなハート型の隆起をもつことがこの種の特徴で、もちろんこれが名前の由来です。
カナダといえば北極に近い海。生物採集はおよそ10℃という冷たい水温の中でおこなわれました。そんな冷たい海ですが、ハートクラブを発見した瞬間、見事なハートマークに採集スタッフも一瞬なごんだ……かもしれません。
今月末(2015年3月末)までの期間限定展示です。人間から見て意味をもつ模様ではありますが、この季節、ハート模様の生物を葛西臨海水族園でぜひご覧ください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 増渕和彦〕
(2015年03月13日)