葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「東京湾にもいるこんな生物」水槽では、コウイカの産卵が始まっています。コウイカの卵そのものは乳白色で、直径が1センチくらいです。親イカがまぶした砂で覆われているので見つかりにくくなっています。なお、展示している親のコウイカは、昨年新潟市水族館マリンピア日本海からいただいた個体で、葛西臨海水族園で育てました。
東京湾にすむコウイカは春に産卵期をむかえますが、展示水槽では少し早い1月中旬、植えてあるアマモの根元に卵が産みつけられているのを見つけました。さらに、2月中旬からは水槽内の石に生えている海藻にも卵を産みつけ始めました。
卵が産みつけてある石に近づくコウイカ
先日、開園直後に水槽を観察していたところ、コウイカが海藻に腕をくっつけ、今にも卵を産みそうなようすでした。石に着いているいくつかの海藻を何度か触ると、また違う石に着いている海藻を触っていたので、気に入った場所を探していたようです。結局、このときは産卵しませんでしたが、来園される方も運がよければ、水槽での産卵を観察できるかもしれません。
水温にもよりますが、卵は、50〜80日ほどで孵化します。今は砂で覆われていて中のようすが確認できませんが、孵化が近づくにつれ、卵の大きさは直径 1.5センチほどになり、中もうっすら見えるようになります。元気な子どもたちが孵化するように、水槽内の環境を整え、準備しているところです。
産卵シーズンはしばらく続きそうですが、コウイカの寿命は約1年と短く、親イカは産卵後しばらくすると死んでしまいます。産みつけられた卵や産卵する親イカのようすにぜひ注目してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 村松茉由子〕
(2015年03月06日)