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ミナミイワトビペンギン、海遊館へ
 └─2015/01/30

 2015年1月13日、ミナミイワトビペンギンのオス2羽が、葛西臨海水族園から大阪の海遊館に移動しました。現在、動物園や水族館で飼育されている動物の多くは、種ごとに血統が登録され、血縁関係に配慮した繁殖計画のもと、個体管理されています。今回、この繁殖計画にもとづき、ブリーディングローン(繁殖のための貸出)をおこないました。

2014年生まれの幼鳥

 さて早朝、専用の輸送箱に入れられたペンギンたちは、空の旅を経て昼過ぎに海遊館に無事到着しました。新しい環境になじめるか心配もありましたが、2羽ともその日の夕方には用意された魚をぺろりとたいらげるなど、すぐになじんだようです。若い個体なので特に好奇心が旺盛だったこと、そして事前に海遊館の給餌方法にならしておいたことがよかったのかもしれません。

 
左:輸送箱に収容し空港へ  右:海遊館に到着


 ミナミイワトビペンギンは全国で約130羽が飼育されていますが、メスよりもオスが多く生まれ、たくさんの若いオスたちがメスに振り向いてもらえず、ペアの相手を見つけられません。このような状況は、葛西臨海水族園も例外ではありません。

 そんな中、海遊館で若いメスたちのペア相手を探していると情報が入り、繁殖を目指して今回の移動を実施する運びとなりました。

 ミナミイワトビペンギンの国内飼育個体数は安定していますが、高齢化が進んでいることなどから、今後、個体数が減少していくことが心配されています。また、野生でも絶滅の危機に瀕しており、動物園や水族館が協力し合い、こうした生き物たちを保護していく取り組みの重要性が高まっています。

 水族園は、国内でもっとも多くミナミイワトビペンギンを飼育し、その繁殖にも力を入れて取り組んでいます。昨年は4羽が孵化し、なんとすべてがメスでした。海遊館に移動した2羽は、約1か月の検疫の後、他のペンギンたちがいる展示場にデビューする予定です。今後、このペンギンたちが繁殖することで、ミナミイワトビペンギンの明るい未来に貢献してくれることを期待しています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕

(2015年01月30日)



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