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ガラス細工のようなギヤマンクラゲ
 └─2014/10/31

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリアでは、2014年10月16日からギヤマンクラゲを展示しています(写真上)。

 ギヤマンクラゲは関東より北に分布し、冬から春によく見られます。成長すると傘の大きさは直径5センチほど、長い触手は32本ほどになります。名前についている「ギヤマン」とはガラス製品やガラス細工のことで、オランダ語のdiamant(ダイヤモンドの意)に由来する言葉です。その名の通り、透明で非常に美しいクラゲです。

 今回展示しているのは、6月に館山湾で採集した個体から繁殖した子どもたちです。採集してから約2週間後、飼育している水槽の壁やガラス面に糸くずのようなものがついているのに気づきました(写真下)。これはポリプといって、卵が孵化してイソギンチャクのような姿に変化したもので、根元の部分が互いにつながっています。ポリプは分裂や出芽(根元から自分と同じ姿のポリプができる)をくりかえして増え続け、水槽一面に広がっていきました。

 さらに約2週間後、傘の直径が1ミリほどの小さなクラゲが水槽の中を泳いでいるのを発見しました。そこでポリプをよく見ると、イソギンチャクのような部分の根元にクラゲの元となる「クラゲ芽」ができていて、今にも泳ぎだしそうなクラゲがたくさんついています。その後、ポリプから次々とクラゲが泳ぎだし、5個体の親から今までに1000個体以上の子どもが生まれました。

 ギヤマンクラゲの特徴でもある長い触手は、生まれた当初は非常に短く、成長するとだんだん長くなります。長い触手は絡まりやすく、水流が強すぎるとさらに絡まり、弱すぎると沈んでしまうため、ちょうどいい強さの水流に調節するのに苦労しました。成長して触手が長く伸びた姿を見ると、やはりきれいなクラゲだなと思います。

 多くの方にギヤマンクラゲの美しい姿を見ていただくために、できるだけ長く展示を続けられるようがんばります。

写真上:2014年10月16日から展示を開始したギヤマンクラゲ
写真下:ギヤマンクラゲのポリプ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 村松茉由子〕



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