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くす玉を覚えたアカエイ
 └─2014/10/24

 葛西臨海水族園の東京の海エリア「渚の生物」水槽で、2014年7月20日からアカエイを1尾展示しています。アカエイは国内では南日本沿岸に分布し、東京湾でもよく見られる身近なエイです。砂泥底に生息し、小型の魚やカニなどを食べ、成長すると体の幅(体盤幅)が50センチほどにもなります。また、尾には身を守るための毒トゲがあるのも特徴の一つです。

 「渚の生物」水槽では、東京湾外湾で見られる魚を中心に展示しています。ベラやフグのなかまなど、比較的小型から中型の魚をはじめ、マダイやドチザメなどの大型魚まで、さまざまな大きさの魚が同居しています。そのため給餌時は餌の争奪戦です。

 展示しているアカエイの大きさ(体盤幅)は40cmほど。マアジやアマエビをほぼ丸ごと与えていますが、水槽に餌をそのまま投げ入れても、素早く泳ぐマダイやメジナが先に食べてしまい、アカエイは十分に餌を食べることができません。そこで、以前紹介した、水底の魚に効果的に餌を与える装置「くす玉」の登場です。

・記事「優れモノの餌やり器、通称『くす玉』」(2013年09月13日)

 ところがアカエイはくす玉に気付かず、餌が食べられない時期が続いたので、職員が潜水して直接餌を与えたこともありました。また、くす玉から出てくる餌の匂いを感じて近くに来ることはあっても、くす玉の真下にはなかなか来てくれません。アカエイの接近を待っていると、ドチザメがしびれを切らしたのか、くす玉を下から突いて開けてしまい、結局ほかの魚に餌を食べられてしまうこともありました。

 悪戦苦闘の日々が続きましたが、最近ではアカエイもやっと覚えてくれたようで、くす玉をおろすとその真下まで泳いで来るようになりました。くす玉から餌が落ちると、体全体で餌に覆いかぶさるようすも観察することができます。

 水族園ではリニューアルオープンしたタッチンフィーリンのコーナーでアカエイに触ることもできます。尾の毒トゲは切ってあるので安心してください。まずは、「渚の生物」水槽のアカエイをじっくり観察し、その後はタッチンフィーリンコーナーで実際に触って、アカエイ三昧の一日を過ごしてみてはいかがでしょうか?

「タッチンフィーリン」リニューアルのお知らせ(2014年04月10日)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕




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