ぐるぐると渦を巻くように群泳する生き物というとマイワシなどが思い浮かびますが、葛西臨海水族園では、フンボルトペンギンたちが渦を巻いて群泳する一風変わった「ペンギントルネード」を見ることができます。
水族園では、日本で最も多い126羽(2014年9月26日現在)のフンボルトペンギンを飼育しています。この中には、周りの勢いに負けてしまう若いペンギンや高齢のペンギンがいるため、給餌の際にはすべてのペンギンたちが餌の魚を食べられるよう、水中に大量の魚を豪快に撒いています。多くの個体数を飼育する水族園ならではの方法ですが、給餌時間には、とくにたくさんの魚を捕れる「特等席」を巡って毎日競争が起こります。
いつもはゆったりと泳いでいるペンギンたちも、飼育係の気配に気づくと勢いよく特等席へ向かいます。そして特等席にやってくると、目の前のペンギンを押し出し、後ろのペンギンからは押し出され、押して押されて……といううちに全体がぐるぐると左回りの渦を巻きペンギントルネードが現れます。
プールの水面では、とくに力の強いペンギンたちが渦を巻き、水中では後に続けとほかのペンギンがぐるぐると泳ぎまわり、まるで椅子取りゲームのような状態になります。
ペンギンたちは次の繁殖期へ向けてどんどん食欲が旺盛になり、日に日にトルネードの迫力が増しています。給餌前のほんの一瞬だけ見ることができる行動ですが、知っていれば何倍も面白くペンギンたちを観察できるでしょう。
写真上:ペンギントルネード
写真下:豪快な給餌法
〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕
(2014年09月26日)
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