みなさんはこの夏、海やプールに遊びに行きますか? 暑い日に水の中に入ると気持ちいいのですが、ずっと入っていると寒くなってきます。
葛西臨海水族園で飼育している海鳥のエトピリカとウミガラスは、私たちが入れば数分で震えてしまうほど冷たい海に潜り、魚を捕まえる生活をしています。それにも関わらず、海鳥たちは寒くないようなのです。なぜ冷たい海でも平気なのでしょうか?
海鳥たちが寒くならないための仕組みはいくつかありますが、今回はそのうちの一つ、水を弾く性質をもつ羽についてご紹介しましょう。
鳥のなかまは尾の付け根から出る脂を羽に塗ることで、水を弾くとよくいわれます。しかし、実は表面の脂を十分に洗い落としても、羽は水を弾くことがわかってきました。最近では、水を弾くのは羽の表面の微細な構造が関係しているのではないかと注目されています。この構造については、残念ながらまだはっきりしたことは分かっていません。今後の研究を待って、またみなさんにご紹介します。
さて謎の多い鳥の羽ですが、とにかくよく水を弾きます。水族園で飼育しているエトピリカとウミガラスが水中から上がったときには、体を覆う羽の表面に注目してください。水滴が羽の表面を流れていくようすを観察することができます。このように羽が冷たい水を弾いてくれるので、海鳥は寒くならないと考えられます。
また、海鳥たちは羽の大事な性質を保つため手入れを怠りません。水浴びをして洗ったり、クチバシで整えたりしています。羽の手入れをしている個体をぜひ探してみてください。
写真:羽の手入れをするエトピリカ
〔葛西臨海水族園飼育展示係 古橋保志〕
(2014年08月15日)
|