ニュース
タテジマキンチャクダイの模様くらべ
 └─2014/04/25

 キンチャクダイのなかまは色鮮やかで美しい種が多く、英語では「エンゼルフィッシュ」(天使のような魚)と呼ばれます。オスとメス、成魚と幼魚で体色や模様に大きくちがいが見られる種が多いことも特徴の一つです。

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「伊豆七島の海3」と「伊豆七島の海4」水槽で、タテジマキンチャクダイを展示しています。日本では、主に茨城県以南のサンゴ礁や岩礁域で見られ、成長すると全長40センチほどになる大型のキンチャクダイです。英語では「皇帝」を意味するエンペラーエンゼルフィッシュと呼ばれています。

 両水槽のタテジマキンチャクダイを比べてみると、全く別の種のようです。

 「伊豆七島の海4」のタテジマキンチャクダイは、現在全長30センチほど。青地に多数の黄色いしま模様があり、眼のまわりにはマスクをしているような濃紺の模様が入っていて、これは成魚に見られる模様ですが大変華やかに見えます。悠々と泳ぐその姿は、品格さえ感じさせ皇帝と呼ばれるのも納得です。

 一方「伊豆七島の海3」では、全長6センチほどの幼魚を展示しています。濃紺の地に白い線が入り、体の後半部の線はうずまき状になっています。これは幼魚期のみに見られる特徴的な模様です。幼魚の模様が成魚と大きく異なるのは、幼魚が成魚のなわばりに入っても同種と判断されず、攻撃されないためと考えられています。

 悠々と泳ぐ成魚、ちょこちょこと忙しそうに岩の間を出入りする幼魚。模様だけでなく、動きにもちがいがあるようです。これから時間をかけて成長していく幼魚の変化に注目です。

写真上:タテジマキンチャクダイの成魚
写真下:幼魚

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕

(2014年04月25日)



ページトップへ