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スポットフィンホグフィッシュたちの複雑な関係!?
 └─2014/02/07

 2月のイベントといえば、バレンタインデーがあります。女性から男性にチョコレートを渡して愛の告白をするという甘いイベントです。恋人たちには楽しみなイベントで、この日をきっかけにカップルになる方たちもいらっしゃるのではないでしょうか。

 葛西臨海水族園の生きものの中にもカップルはたくさんいますが、少し複雑な関係のカップルを紹介します。

 世界の海エリアの「カリブ海」水槽には、スポットフィンホグフィッシュというベラのなかまがいます。ホグフィッシュは水族園が閉園後、ほぼ毎日産卵しています。しかし、複雑なのはオスの相手が1匹だけではないことです。一番大きなオスは複数のメスを独占し、メスは水槽の照明が消灯するまでの間に何回も産卵を繰り返します。ホグフィッシュは一夫多妻、いわゆるハーレムをつくっているのです。

 さらにオスメスの関係は複雑です。ホグフィッシュを含めベラのなかまの多くはメスからオスに性転換します。つまり、水槽にいるオスはもともとメスだったのです。

 いつ性転換をするのかは集団の中でのお互いの体の大きさによって決まります。一番大きいものだけがオスになりますが、二番目以下はそのままメスとして繁殖に参加します。一番大きいオスが何らかの理由でハーレムからいなくなると、二番目に大きいメスがオスに性転換するのです。

 また、オスは「これ以上大きくなるな!」「俺のポジションを奪うな!」とでもいうように、メスを牽制するような行動を見せます。これはハーレムのメスたちが性転換してライバルが増えるのを抑えているのです。毎晩産卵し、一見仲良しに見えるカップルたちですが、ハーレムや性転換など、この魚の実態はなかなか複雑な関係にあります。

 水族園にはほかにも、さまざまなカップルを飼育展示しています。 魚のオスメスの事情をご紹介するため、2014年2月15日(土)、16日(日)に特別な「スイートツアー」を開催します。カップルの方にお勧めです。2人のバレンタインの思い出にぜひ参加してみてください。

・「スイートツアー」ほか葛西臨海水族園「Visit ほっと Zoo 2014」イベント

写真:スポットフィンホグフィッシュ

〔葛西臨海水族園解説スタッフ 瀬戸川博美〕

(2014年02月07日)



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