葛西臨海水族園海鳥の生態エリアでは、ウミガラスとエトピリカが産卵シーズンを迎えています。ふだんは見られない繁殖行動が見られるのでご紹介しましょう。
2013年4月上旬から、ウミガラスたちは展示場中央に集まるようになりました。彼らは一か所に集まって、岩棚の上に直接卵を産みます。ウミガラスがこのように集団で繁殖するのは、自分の卵やひなが外敵から襲われる確率を減らしたり、集団で防衛したりするためです。
一か所に集まりだすと、鳴き交わすことが多くなります。お互いの鳴き声で繁殖意欲を高め、産卵のタイミングを合わせるためだと考えられています。展示場内の音はスピーカーを通して観覧側で聞こえるようになっていて、ウミガラスの「アァァァァァ〜」という鳴き声も時折聞こえます。小さなお子さんが怖がってしまうような意外な鳴き声を発しているので、ぜひ耳を澄ませてみてください。
エトピリカでは、2羽がクチバシをカタカタこすり合わせる行動を見ることができます。また、オスがメスを追いかけるように泳ぎ、クチバシを上げてパクパクしていることもあります。こうした行動はエトピリカの求愛行動と考えられています。オスたちは必死なのでしょうが、見ていてとてもほほえましい光景です。
すでにウミガラスもエトピリカも産卵が始まっていますが、エトピリカの求愛行動が見られるのは、まだ卵を産んでいない数ペアのみです。
エトピリカの巣穴のようすは展示場のモニターに映し出しています。これからは卵を温めている親鳥の姿や、ひなの状態、子育てのようすなどが見られるようになりますので、ぜひご来園ください。
写真上:展示場中央に集まるウミガラス
写真下:求愛中のエトピリカ
〔葛西臨海水族園飼育展示係 古橋保志〕
(2013年06月28日)
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