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びっくり!食いしん坊ネズミフグの災難
 └─2013/04/05

 春爛漫、花咲き乱れる季節に私は花より団子派ですが、葛西臨海水族園の水槽の中にも、いつも食べ物のことばかり考えている食いしん坊な魚がいます。今回はそんな食いしん坊な1匹をご紹介します。

 それは世界の海エリア「南シナ海」水槽に展示しているネズミフグです。ネズミフグは、世界中の温・熱帯の岩礁やサンゴ礁などに棲むハリセンボンのなかまです。体には短いのですが、ハリセンボンの特徴である棘があります。自然の海では、餌として甲殻類やウニ、貝類などを食べています。顔がネズミに似ていることから「ネズミフグ」と呼ばれるようになったとの説があります。

 水槽の中のネズミフグは、餌の時間になると我先に飼育係の前にやってきて、口をパクパクさせて大興奮。目の前にいるとほかの魚に餌を与えられないので、まずはネズミフグに給餌して落ち着かせます。水族園では、甘エビやイカ、アジなどを与えています。しかし、あっと言う間に自分の分は食べてしまい、またすぐにねだって大騒ぎです。いつも「本当に食べることしか考えてないかわいい子だな」とほほ笑まずにはいられません。

 飼育係としてはとても恥ずかしい話ですが、以前私のミスでこのネズミフグに痛い思いをさせてしまったことがあります。それは同じ水槽にいるハタのなかまで大きな魚のタマカイに餌を与えようとしたときです。なんとその餌にネズミフグが食いついてしまったのです。あっと思った瞬間、ネズミフグは餌もろともタマカイにパクっと噛まれてしまいました。タマカイもびっくりしてすぐに吐き出しましたが、一番びっくりしたのはもちろんネズミフグです。ものすごい勢いで擬岩の中に隠れてしまいました。それから二日間岩陰から出てこないので心配しましたが、岩陰から出たあとは、以前と同じ食いしん坊に戻っていたので安心しました。

 この一件以来、二度と魚たちに痛い思いをさせてはいけないと、改めて細心の注意を払い餌を与えています。

写真上:餌に向かってまっしぐらのネズミフグ
写真下:背後から忍び寄るタマカイ、タイミングを計って給餌

〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕

(2013年04月05日)



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