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いつも一緒のサザナミハゼ夫妻
 └─2013/01/04

 葛西臨海水族園世界の海エリアの「グレートバリアリーフ」水槽では、ペアのサザナミハゼが見られます。この魚は、サンゴ礁に生息するハゼのなかまで、岩などの物陰に巣穴を複数作り、その周辺で広範囲にわたって餌を探すことが知られています。

 サザナミハゼは、繁殖期以外でも、基本的にはオスメス1対で行動します。現在水槽にいる2匹もとても仲良しで、大概いつも一緒にいます。少し離れて別々に行動していても、しばらく観察していると必ずどちらかがすっと寄って来たり、一緒に巣穴に戻ったりしています。オスメスの見分けが難しい魚ですが、体が少し大きく積極的に巣穴を守っている個体がオスだと思われます。

 サザナミハゼは、口に砂をたくさん含んで、餌だけを漉しとるという面白い食事方法をします。餌となるのは細かい有機物などで、水槽ではハゼがやせないように、解凍した冷凍プランクトンを毎日砂にまぜています。

「何を食べているの? 砂、砂、砂」(2003年12月5日)

 巣穴を掘るときは、食事のときとは違い、砂を口いっぱいに詰め込んだあと、餌を漉さずにブファッ!という感じで巣穴の外へ吐き出します。2匹が協力して巣穴を作っているようすは、なんとも微笑ましく見ていて飽きません。ところが、観察していると、巣穴作りの作業量に偏りが見られることがあります。1匹がせっせと砂を運んでいる横で、もう一方の小さい個体が、砂を口にふくんで、どうやら食事を始めてしまったようです。巣穴の入口でモグモグやるものだから、せっかく作った穴に砂がどんどん入ってしまいますが、そ知らぬ顔。この自由奔放な方がメスだと思われます。卵を産むためには、食事が優先ということなのでしょうか。

 サザナミハゼは、産卵準備ができると、お腹の大きいメスがオスを口でつつき、「産めるわよ」と知らせるそうです。

 水槽では、ときどきメスのおなかが大きいように思われるときがありますが、産卵を確認したことはありません。最近、一方が相手の顔をガブリと甘噛みする行動を見るので、そろそろかな?と期待しています。

写真:サザナミハゼのペア

〔葛西臨海水族園飼育展示係 堀田桃子〕

(2013年01月04日)



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