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オーストラリア採集リポート、その弐
 └─2012/07/27

 みなさん、こんにちは! 今回は葛西臨海水族園調査係のこみすけこと小味亮介がお伝えします。

「オーストラリア採集リポート、その壱」(2012年07月13日)

 我々ナーサリーフィッシュ(以下、ナーサリー)採集隊は、無事にオーストラリア北部のダーウィンでの採集を終え、日本に帰国しました。 採集したナーサリーは、一足先に葛西臨海水族園へ到着しており、このリポートではその輸送のようすをお伝えしようと思います。

 輸送のために準備したのはクーラーボックス、クッションとなるスポンジマット、そして特別に作成した厚手のビニール袋です。また、輸送会社からの要請で、特製ビニール袋を市販の黒いビニール袋で包んで二重にし、水が漏れたときのために水分を吸水するシートをクーラーボックスの底に敷きました。

 ひとつのクーラーボックスには、サイズに合わせて2〜4匹のナーサリーを入れます。飛行機に積む荷物は厳格に重さが制限されており、予定していた重量を1グラムでも超えると荷物を運んでもらえません。しかし、ただ水の量を減らしただけでは魚によくありません。いかに少しでも多く水を入れられるか、その見極めが重要です。慎重にビニール袋に水を入れながら、何度も重さを計り、予定を超えていないか確認しながらパッキングをおこないました。

 ナーサリー自体も肌が弱く、手荒に扱うと傷ついたり、体から粘液を出したりして水を汚してしまうため、丁寧に、そして迅速に扱わなくてはなりません。この作業は現地でガイドしていただいた方にも手伝ってもらい5人でおこないました。パッキング終了後、空港へもち込み重さを量ります。緊張の一瞬でしたが、無事クリアー! ナーサリーたちは飛行機に積み込まれ、水族園へ向けて飛び立ちました。

 今回の輸送ではダーウィンからシンガポールを経由し、日本へ着きました。ナーサリーが水族園に無事に到着したのは、パッキング開始からおよそ27時間後でした。帰国後にナーサリーのようすを見に行ったところ、薄暗い、少し流れがついた水槽にいました。流れに対して顔を向け胸びれを広げ、まるでグライダーで飛ぶように、水中で止まっているように泳いでいました。

 飼育展示係のアメケンこと雨宮によると、今後、裏側にあるこの水槽に、現地の川と同じく濁りをつけるなど、ナーサリー用に特別な環境を作り、繁殖にチャレンジするとのことです。ナーサリーフィッシュはオスが額にできた突起に卵を引っ掛け、保護するという変わった生態をもっています。水族園の展示水槽でも、その姿をお見せできる日がくるように頑張りたいと思います。

写真上:パッキング作業のようす
写真中:空港へ持ち込み、これから計量
写真下:水族園に到着したナーサリーたち

〔葛西臨海水族園調査係 小味亮介〕

(2012年07月27日)



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