だんだんと寒さが和らぎ春らしい日も増えてきましたが、春の訪れとともに、多くの鳥たちに繁殖の季節がやってきます。その季節に向け、葛西臨海水族園で飼育しているエトピリカとウミガラスの姿にも、ちょっとした変化が出てきました。
繁殖の季節になると、多くの鳥たちで、オスあるいはオスとメス両方の羽の一部が鮮やかな色や模様に生え換わる現象が見られます。これらの鳥では、非繁殖期の少し地味な色や模様の羽を「冬羽」、繁殖期の鮮やかな羽を「夏羽」と呼びます。
エトピリカとウミガラスでは、オスとメスがともに鮮やかな色や模様の夏羽に生え換わりますが、とくにエトピリカでは、冬羽と夏羽とで大きく姿を変えます。
最近では、2種類とも夏羽へと生え換わりが進んでいますが、ウミガラスは白黒模様がまだらであったり、エトピリカでは特徴的な眼の上の飾り羽がまだ短かったりと、どこか間の抜けた姿に見えます。1年の内で、ほんの短い間しか見ることのできないこのような生え換わり途中の姿を見るのも面白いかもしれません。夏羽への生え換わりが終わると、まもなくエトピリカとウミガラスににぎやかな繁殖の季節がやってきます。
写真:夏羽に変わる途中のエトピリカ(オレンジのくちばし)とウミガラス
〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕
(2012年03月16日)
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