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ペンギンたちの暑い夏
 └─2011/07/15

 葛西臨海水族園では、2010年9月に上野動物園から移動してきたキングペンギン(オウサマペンギン)と合わせて計4種のペンギンを飼育しています。

 寒いところでくらしているイメージが強いペンギンですが、じつは暖かいところに生息する種も多く、中には赤道直下にもいるほどです。当園で飼育しているフンボルトペンギンはペルーからチリにかけて、フェアリーペンギンはオーストラリア南部とニュージランドというように、温帯域に生息しているペンギンです。

 それに対して、南極周辺の冷い海域に生息しているイワトビペンギンとキングペンギンは、暑さに大変弱いため夏の間は裏側の冷房室で飼育をしています。そのため、ごらんになれるのは10月下旬からとなりますが、嬉しいニュースがありましたので紹介します。

◎イワトビペンギンのひな、すくすく成長中

 2011年4月下旬、イワトビペンギンの産卵が始まりました。イワトビペンギンは、主に小石をすり鉢状に積み上げた巣の中に2個の卵を産み、オスとメスとが交代で32~35日間卵を温めひなをかえします。当園でも6月上旬になると親鳥のお腹の下からひなの鳴き声が聞こえるようになりました。とても小さく弱々しく見えるひなでしたが、みるみる成長し、最近では巣から飛び出して歩き回るなど、日に日に活発さを増しています。まだまだ親鳥とは似ても似つかない姿のひなたちですが、今後の成長が楽しみです。

◎キングペンギン抱卵中

 2011年6月22日の夕方のことでした。ふと目をやると部屋の隅にいるキングペンギンのオス「クール」の下腹がぽっこりと膨れています。もしやと思い確かめてみると、予想通り相手のメス「ウミ」が産んだ卵を温めていました。

 ペンギンのなかまの多くは巣を造り、そこに卵を産んでうつ伏せになって卵を温めますが、キングペンギンは巣を造らず、卵を足の上に乗せ、その上から下腹部の皮をかぶせて卵を温めます。その期間は50~60日間にもおよび、この間、オスとメスは交代で卵を温めます。産卵してすぐメスはオスに卵を渡し、その後は数日おきに抱卵を交代しますが、メス親のウミはオス親のクールに卵を渡した後、いっこうに交代をする素振りを見せませんでした。

 このままクールに預けっぱなしにならないかと心配していましたが、産卵から12日後に抱卵の交代が見られました。このまま順調にいけば8月中旬には小さなひなが、足元から顔を覗かせるかもしれません。これまでに繁殖の成功経験のない新米夫婦なので、順調にいくかどうか心配は尽きませんが、今後もこの2羽をそっと見守っていきたいと思います。

写真上:イワトビペンギンの親子
写真下:キングペンギン、抱卵4日目

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕

(2011年07月15日)



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