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キングペンギンの下嘴板
 └─2011/05/06

 ペンギンの中で一番体の大きいキングペンギン属のエンペラーペンギンとキングペンギン(オウサマペンギン)は、下嘴の側面が橙色で非常に目立つ色となっています。この部分は下嘴板(かしばん、mandibular plate、嘴鞘と書いたものもあります )と名付けられています。

 葛西臨海水族園では2010年9月からキングペンギンの飼育を始めました。
 下嘴板が剥がれ落ちると聞いていたので、爪のようなものが橙色部分の形のまま剥がれるものと思っていました。

 今年の1月に最初の個体の下嘴板が剥がれ、換羽真っ最中の現在は残りの個体も剥がれ始めています。それらを見ますと、実際は「板」や「鞘」のイメージとは異なり、やや厚目の「膜」が剥がれる、またはめくれると言った方が合っていそうです。細長いヘラ状の形で剥がれることもあれば、日焼けしたときの皮膚のようにボロボロと少しずつ剥がれることもあります。

 剥がれた後の下嘴板は黄色ですが、次第に赤みを帯びて橙色あるいは濃いピンクか赤紫色へと変わります。そして、1年後の換羽期のころ、表面だけがまた生え替わります。
 なお、下嘴板が鮮やかな色に変わるのは、繁殖の準備が整ったことを異性に伝える、信号の一種になっているのかもしれません。

写真上:下嘴板の表面が剥がれ出したところ
写真下:剥がれ落ちた下嘴板表面の「膜」

〔葛西臨海水族園飼育展示係 福田道雄〕

(2011年05月06日)



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