アマモは、波のおだやかな、浅い砂泥の海に生える海草(かいそう)です。海藻(かいそう)ではありません。
海草であるアマモは、陸上の多くの植物と同様、花を咲かせ、種をつくって増えていきます。一方、ノリやワカメ、コンブなどでよく知られる海藻の場合、花を咲かせることなく、水中に胞子を放出して増えていきます。この2つを区別するために、海草を「うみくさ」と読むこともあります。
では、葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「アマモ場」水槽で、花を見つけていただきたいのですが、とても小さくて地味なので、花がどのあたりについているのか、あらかじめお教えしておきましょう。
まずは、アマモ全体を観察してください。根元近くから幅5ミリメートルほどの平たいリボン状の葉が数本に分かれて伸びています。その中に形の違う、細長い紐状の茎が見られます。これは「生殖株」というもので、春の繁殖の時期に伸びてきます。
そして、その先端、水面近くに目をやると、少し幅の広い部分があります。これは花穂(かすい)と呼ばれるもので、中に長さ3ミリメートルほどの雄花と雌花が並んでいます。雄花からは綿毛のような花粉がたくさん放出され、受精がおこなわれます。
受精が終わると、長さ5ミリメートルほどの大きさの実が、きれいに2列に並んで現れます。実の付いているようすは花よりわかりやすいので、ぜひ探してみてください。受精後約1か月で実は熟し、海底に種がこぼれ落ちます。
情報資料室には、水槽内で採れた種がありますので、スタッフに声をかけてごらんください。
写真上:雄しべ
写真中:雌しべ
写真下:実
〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕
(2010年04月30日)
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