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続・新たな視点で見てみると(19)
 高感度カメラでミツクリザメを撮影
 └─2010/04/09

 「続・新たな視点で見てみると」の前身「新たな視点で見てみると」(2007年7月~12月)では、特殊なカメラや撮影方法によって、ふつう見ることができない生き物の世界を動画でお送りするシリーズでした。今回、水槽を泳ぐミツクリザメを撮影したカメラも、少しだけ特殊と言えるかもしれません。

 こちらのニュースでお伝えしたとおり、葛西臨海水族園では2010年3月28日、東京湾で採集されたミツクリザメを「深海の生物」コーナーで展示しました(現在は展示していません)。

 展示種が深海生物なので、水槽の照明は薄暗くしてあり、ふつうのビデオカメラで撮影するとうまく映りません。そこで、デジタル一眼レフカメラの動画撮影機能を使いました。デジタル一眼レフカメラの撮影素子(フィルムに相当する部分)は、ビデオカメラのものに比べて一般的に大きく、感度が高くなります。しかも、今回撮影に使用したカメラは、現在市販されているカメラの中でいちばん高感度だといわれているものです。(アメリカ航空宇宙局 NASA が宇宙での記録撮影用に11台まとめて購入したといわれています。おりしも、軌道上の国際宇宙ステーションには2名の日本人宇宙飛行士が滞在中。今、宇宙から地球を撮影しているかもしれないカメラと同じ器械で、宇宙とならぶ極限環境である「深海」の生物を撮影している──なかなか感慨深い瞬間でした)。

【動画:水槽内で泳ぐミツクリザメ】
 Windows Media
 QuickTime

 撮影を始めてびっくりしたのが、肉眼で見えているよりも明るく映ることでした。白黒の場合は比較的簡単に暗い場面も撮影する事ができるのですが、カラー映像を明るくきれいに撮影することは今までできませんでした。

 このような便利な道具も使って、いろいろな記録をとり、飼育のうまくできていない生物の長期飼育につながるような突破口が開けたらよいなと思うのと同時に、興味深い生き物のすがたや行動などをお伝えできればと考えています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2010年04月09日)



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