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「モーリシャス」フル・モデルチェンジ、オニダルマオコゼの展示
 └─2009/07/24

 2009年7月15日、葛西臨海水族園「モーリシャス」水槽の展示をフル・モデルチェンジしました。新しい展示は、サンゴ礁の砂地をイメージしています。今回あらたに展示した中で、もっとも特徴的なのがオニダルマオコゼです。

 オニダルマオコゼは、英語でストーンフィッシュ(石の魚)と呼ばれています。ずんぐりとしたかたち、でこぼこした体表、不規則な模様は、いろいろなものが付着したサンゴ礁の石にそっくりです。ちょっと砂に潜ってしまうと、飼育係の私も「え~っと、どこにいたっけ?」と見失ってしまうほどです。

 オニダルマオコゼは、このように石に擬態し、餌となる小魚を待ち伏せしているのです。ふだんはほとんど動きませんが、餌を見つけると素早くからだを持ちあげ、パクッ!と一瞬のうちに丸飲みにしてしまいます。

 この魚は、暖かい海の危険生物としても有名です。背びれには強力なトゲがあり、トゲに猛毒があるのです。このトゲに刺されると、強烈な痛みに襲われます。その痛みは、大のおとなが涙を流して泣き叫ぶほどだそうです。海水浴ができるような浅い海にも生息しているので、うっかり踏みつけて刺される事故もあるようです。

 それにしても、なぜオニダルマオコゼはこのような猛毒をもっているのでしょうか。それはひとつに、泳ぎ回らなくても毒をもつことで身の安全を確保できるということが考えられます。でも自然の海では、えさになる小魚が気づかないほど、オニダルマオコゼは擬態の名手です。気づかれないんだから、なにもそこまで武装しなくても……と思ってしまうのは、私だけでしょうか。

 フル・モデルチェンジした「モーリシャス」水槽のオニダルマオコゼを探しに、ぜひ葛西臨海水族園にお越しください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕

(2009年07月24日)



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