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ニホンリスのマイクロチップ
 └─2008/02/29

 井の頭自然文化園には、面積が約 650平方メートルもある広いケージにニホンリスを放し飼いにした「リスの小径」という展示があります。来園者はケージ内を通り抜けることができ、ニホンリスのさまざまな行動を間近に観察することができます。

 現在、ケージ内には約 100頭のニホンリスがくらしており、毎年順調に繁殖していますが、これだけたくさんいると個体識別も簡単ではありません。そこで、毎年冬の休園日に、ケージ内のリスを捕らえて戸籍(?)照合をおこない、あらたに生まれた個体の戸籍を作るのです。

 手順としては、まずケージ内にワナをしかけ、リスを捕らえます(写真)。餌のクルミを置いておびきよせるのですが、全頭捕獲するのは容易ではありません。2007年12月17日、25日、2008年1月15日の3回実施し、複数回ワナにかかる個体も含め、合計 128頭を捕獲しました。しかし、1度もワナにかかっていない個体もいる可能性があります。

 捕獲後、各個体のマイクロチップを確認します。リスの背中の皮下には長さ 1.2センチほどの小さなマイクロチップが入れてあり、機械をかざすとマイクロチップの番号を読みとることができます。その番号を名簿と照合します。ただし、ワナで捕獲したリスはすべて小部屋に放し、あらためて1頭ずつタモ網で捕らえるため、壁や天井を自由自在に動き回るリスを相手にする人間側にも俊敏な動きが要求されます。

 番号が読み取れない個体には、獣医がマイクロチップを挿入します(写真)。あらたに生まれた個体として登録するのです。マイクロチップは皮の下にチュっと手際よく入れるので、ぜんぜん痛そうには見えません。そして、チップを入れた穴を医療用接着剤でふさいで完了です。

 3日間の作業の結果、48頭にマイクロチップを入れました。この数は、昨年(2007年)に生まれた子どもの数と推測されます。

(2008年02月29日)



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