井の頭自然文化園では、日本産動物の展示に力を入れています。
今回ご紹介するのは「キツネ」。キツネのなかまは、日本には、北海道にキタキツネ、本州・四国・九州にホンドギツネが分布しています。当園で展示しているのは、山地や丘陵地に生息しており、都内だと多摩市や羽村市などで目撃情報があるホンドギツネです。
ホンドギツネ
突然ですが、みなさんはキツネのうんちを見たことがありますか?
私がキツネの飼育担当を始めたころ、キツネのうんちには黒い部分とともに白い部分があることに気づきました。当園の小獣舎では、ホンドキツネと同じイヌ科のホンドタヌキや、イタチ科のニホンアナグマも飼育していますが、タヌキのうんちは全体が黒く、アナグマは茶色いなど、ともに白い部分は見られませんでした。
いったい、なぜキツネのうんちは白黒なのでしょうか?
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キツネのうんち | アナグマのうんち |
動物の日々のうんちは、食べたえさや体調により変化します。キツネは肉食傾向が強い雑食性であり、野生では主にネズミや鳥などの小動物を捕まえて食べるため、当園では鶏頭と馬肉を与えています。
鶏頭には頭の骨が含まれていますが、キツネは噛む力が強く、かみ砕ける程度の骨は、肉の部分といっしょに食べてしまいます。そして、体内に吸収されなかった過剰なカルシウム分がフンの中に排出されます。それがうんちの白い部分の正体です。もちろんカルシウム以外の不要物は黒色のうんちとして排出されるため、部分的に白いところが見られるのです。ちなみに、それぞれの部分の感触は、正常な状態だと、黒色は柔らかく、それに比べて白色は硬いというように違いがあります。
動物の便状はその動物の体調を知る大切な手がかりであり、白色と黒色のうんちの割合も健康状態を図る目安となるため、動物の体調の変化をいち早く感じ取れるよう日々の観察に努めています。
なお、野生動物のうんちの中には、人と共通の感染症の原因となる細菌や雑菌があるため、もし野外で動物のうんちを見つけても、触ったり踏んだりしないようにしましょう。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 内堀杏子〕
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