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ニホンアナグマの同居──繁殖への期待を寄せて
 └─2020/04/24

 井の頭自然文化園では2020年2月25日から3月2日まで、ニホンアナグマのオスとメスを繁殖のために同居させました。このペアを同居させるのは、今回が初めてです。

ニホンアナグマ同居のようす

 ニホンアナグマのオスとメスは通常、別々に単独でくらしています。繁殖シーズンになると、オスがメスの生活圏を訪れ、繁殖行動をとります。そこで同居に先立つ準備として、事前に数日間、雌雄を出す放飼場を入れ替えました。残された匂いや痕跡を手がかりに、お互いの存在に気づかせるためです。

 同居当日、対面した2頭はすぐにお互いの匂いを嗅ぎ合い、つづいてオスがメスの首をくわえ、後ろから乗りかかるマウント行動も見られました。オスはメスに対して「ジジジ……」という求愛の声を立てますが、今回この声も確認することができました。メスも落ち着いてオスを受け入れたので、問題なくスムーズに交尾にまでいたりました。


【動画】繁殖を目的に同居させたニホンアナグマのオスとメス。「ジジジ」という、オスの求愛の声が聞こえる

 アナグマのなかまには「着床遅延」が知られています。着床遅延とは、受精卵がすぐに子宮壁に定着(着床)せず、しばらくのあいだ子宮内に浮遊してから着床する現象です。ジャイアントパンダなどのクマ類やイタチ類、鰭脚類、カンガルーなどに生じることが知られています。ニホンアナグマは着床から出産までの期間は約60日ですが、受精から着床までの期間に応じて妊娠期間は308~336日(平均328日)の幅があると報告されています。

 アナグマの繁殖が成功を目指して飼育管理に努めます。どうぞ見守ってください。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 坂上琴音〕

(2020年04月24日)


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