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フェネックの子どもが生まれました
 └─ 2019/07/18

 井の頭自然文化園では、現在10頭のフェネックを飼育しています。ここ数年、毎年繁殖に取り組んでいましたが、出産はするものの、子どもがうまく成育しませんでした。
 そこで、2017年にオス2頭とメス2頭、2019年の春にオス1頭を新たに迎え入れて繁殖を試みたところ、5月8日に3頭の子どもが生まれました。性別は3頭ともオスです。母親は「ミカン」(推定5歳)、父親は「ニイニイ」(2歳)で、ミカンはこの出産が初めての経験でした。


生まれた子ども3頭のうちの2頭(手前・奥)と、母親のミカン(中央)

 フェネックの妊娠期間は約50日。ミカンとニイニイの交尾を確認した日が2019年3月21日なので、出産予定日はその50日後にあたる5月10日です。それまでに安心して出産できる環境を整えました。
 しかし、用意した巣箱が気に入らなかったのでしょうか、出産予定日の2日前に放飼場を見に行くとミカンの姿が見えず、探していると自力で掘った巣穴の中からひょこっと顔を出したのです。よく耳を澄ますと、巣穴の中から子どもの鳴き声が聞こえ、そこで出産したことがわかりました。授乳に必要な栄養をしっかり与えるために母親用の給餌量を増やし、あとはミカンが子育てに集中できるよう刺激を与えずにそっと見守ることにしました。
 順調に育っているか心配でしたが、ある雨の日にミカンが巣穴から子どもをくわえて室内の巣箱に引っ越していて、巣箱内に設置したカメラを通じた映像で、3頭の子どもを確認することができました。そのときは私自身ホッと胸をなでおろしたことを覚えています。

 今月で産まれてから2ヵ月が経ちました。子どもたちはすくすくと成長し、だんだんと大人の顔に近づいてきました。けれども、ミカンの背中に乗っかってちょっかいを出して遊んだり、3頭で仲良くぴょんぴょん跳ねまわったりと、まだまだ子どもらしい無邪気な姿を見せています。
 7月11日には目隠しのために放飼場を囲っていたベニヤ板を完全に外して公開しています。井の頭自然文化園へ来た際には、元気なフェネック親子の姿をぜひ見てください。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 荒木春奈〕

(2019年07月18日)


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