あけましておめでとうございます。2019年の亥年を迎えるにあたり、井の頭自然文化園にも昨年末、青森県の弥生いこいの広場からニホンイノシシのメス2頭が来園しました。
2018年7月7日生まれの2頭は日橋園長によって「サクラ」と「リンゴ」と命名され、動物園(本園)の大放飼場(中央にあるヤクシカとタンチョウがいる広いエリア)で11月20日から公開中です。ふだんはのんびり寝ていますが、起きると活発に土を掘り返し、走り回っています(東京ズーネットBB動画「
井の頭にイノシシがやって来た」もご覧ください)。
新年を迎え、気になるのが「十二支の動物」の由来です。神さまが動物たちに競争をさせ、十二支を割り振るお話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。その物語の中では、たとえばなぜネズミがいちばん最初なのか、なぜネコが十二支にいないのかについて理由も語られています。
十二支動物の由来は諸説あります。しかし、動物を競争させる物語には人々が思い浮かべる生態が描かれていて、なかなか興味深い内容です。
さて、亥年の動物イノシシにも、ちゃんと物語がありました。じつは十二支はイノシシが最初になるはずだったのです。
ウシが「足が遅いから前の日に出発する」と言うのを聞いて、その背中に乗って楽に一番乗りを果たすネズミ。だが、ウシの前乗りを聞いていたのはネズミだけではなかった。イノシシもウシに負けじと前日に出発、猛スピードで駆け続け、なんと一番乗りに!
ところが、あまりに意気込みすぎたため、カーブを曲がれずゴール前を素通りしてしまい、あわてて戻って来たときにはぎりぎり十二番目だった──という「猪突猛進」をモチーフにしたお話。
出典がさだかでないのですが、イノシシのイメージをよく表現していると思います。ただし、実際のイノシシの身のこなしはもっと軽快で、まっすぐ向かってくると見せかけ横っ飛びのフェイントも多用しますし、止まった姿勢から垂直跳びもできます。
十二年に一度の機会です。身近なようでよく知らないイノシシの姿と動きを眺め、野生のイノシシや物語の中のイノシシについて想像を巡らせながら、その面白さを見つけてみませんか。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 飛田英一朗〕
(2019年01月03日)