2017年10月26日、井の頭自然文化園「水生物園」のツル舎で新しくクロツラヘラサギの展示を始めました。文化園では初めての展示です。公開しているのは、多摩動物公園から来園したメス2羽です。
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公開を始めた2羽 | ツクシガモと同居 |
クロツラヘラサギは東アジアのみに生息し、絶滅危惧種にも指定されています。1990年頃から保全への関心が高まり、国際的な調査や研究が活発に進められています。日本では冬鳥として、おもに九州に少数が渡来します。ツクシガモも越冬地が同じなため、井の頭自然文化園では同居させています。
クロツラヘラサギは、名前の通り黒(クロ)い面(ツラ)をしており、ヘラのような形のくちばしをもつ水鳥です。また、名前に「サギ」とありますが、ペリカン目トキ科に分類されます(サギ類はペリカン目サギ科)。
今回来園した2羽は2歳の若い個体なので、上くちばしに見られる皺状の模様はまだはっきりとは現れていません。特徴はなんといっても不思議な形のくちばしです。彼らはこのしゃもじのような形のくちばしを左右に振りながら、干潟などの水辺で採食します。野生でのおもなえさは、ボラやハゼなどの魚類や、カニやエビなどの甲殻類です。井の頭自然文化園では現在、ワカサギとアジなどを与えています。
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羽づくろい中のクロツラヘラサギ | お気に入りの丸太の上で |
彼らはこのくちばしを使って器用に羽づくろいもおこないます。今では環境にも慣れ、お気に入りの場所の池の丸太の上にいることが多いようです。首を左右に振りながら採食する行動、そしてユニークなくちばしにぜひご注目ください。
〔井の頭自然文化園水生物園館飼育展示係 東條裕子〕
(2017年11月11日)