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冬越しのいきものたちのくらし──オオミノガの幼虫、マダラマルハヒロズコガの幼虫
 └─2017/01/12

 井の頭自然文化園正門先のミニ展示コーナーで「冬越しのいきもの展」を2017年1月7日から2月28日まで開催しています(お知らせ)。1月9日現在、2種類のいきものを展示中。そのくらしについてご紹介しましょう。

オオミノガ(大蓑蛾)の幼虫

 オオミノガの幼虫が冬越しのために作る巣は、昔の人が使った雨具の蓑(みの)に似ているため「ミノムシ」と呼ばれ、ミノムシが枝先にぶら下がっているようすは冬の風物詩としても親しまれてきました。近年はそのような風景を見る機会は減ってしまいましたが、それでも文化園や井の頭恩賜公園の木々をよく観察すると見つけられます。

 また、幼虫が巣を作る際の巣材選びには、まわりの環境や個体による差があるようです。ミノムシを観察するとき、ぜひ姿かたちの細かな違いに注目してみてください。


蓑を作って枝からぶら下がるオオミノガ


マダラマルハヒロズコガ(斑丸翅広頭小蛾)の幼虫

 名前のとおり、こちらも蛾の一種です。マダラマルハヒロズコガの幼虫の作る巣は、特徴的な平べったいひょうたん型をしています。朽ち木をかみくだいた木くずを巣材に、糸でつづり合わせて作るといわれていますが、詳しいことはよく分かっていません。

 木の幹や根元、朽ち木の下などで見つかり、それらはしばしばアリの通り道や巣に近いことがあるようです。また、小さい幼虫は小さい巣を、大きい幼虫は大きい巣をもっているため、成長にあわせて巣を大きくしているのかもしれません。ときおり顔と足だけをのぞかせて、巣を引きずって移動しているようすが見られます。


巣の隙間から顔をのぞかせた後、体を伸ばし、巣を引きずるようにして進む。巣から完全に出ることはない


 冬越しのいきもの展は2017年2月末まで開催します。期間中に展示替えを予定しています。動物園へお越しの際は、ぜひミニ展示コーナーにお立ち寄りください。

〔井の頭自然文化園教育普及係 阿部万純〕

(2017年01月12日)


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