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冬越しのいきものたち[2]カブトムシの幼虫、エサキモンキツノカメムシ、ギンヤンマのなかまのヤゴ、ハラビロカマキリの卵嚢
 └─2016/02/26

 井の頭自然文化園の正門を入って少し進んだ先にある、木枠で作られた小さな展示ケース。ここには文化園の小さな冬がぎゅっと詰まっています。展示期間は2016年3月13日(日)まで(いきものの状態により展示種や終了日が変更となる場合があります)。


「冬越しのいきものたち」の展示。今日はカブトムシの幼虫、見られるかな?

 みなさんは、身近で見られるいきものたちがどのように冬を過ごすかごぞんじですか? 「冬越しのいきものたち」の展示ケースの中では、いきものたちの冬越しをテーマに、現在8種類のいきものを展示しています(カブトムシの幼虫、ギンヤンマのなかまのヤゴ、ミノムシ[オオミノガ]、イラガのまゆ、エサキモンキツノカメムシ、ゴマダラチョウの幼虫、オオカマキリの卵嚢、ハラビロカマキリの卵嚢)。すべて園内で見つけたいきものたちです。今回は前回の記事で紹介できなかった4種類のいきものたちをご紹介します!

カブトムシの幼虫

 園内にある「いきもの広場」(詳細は後述)でカブトムシの幼虫を発見しました。夏の終わりから秋にかけて腐葉土をたくさん食べ、子どもの手のひらほどもある大きさに成長したカブトムシの幼虫は、地面に深くもぐって冬を越します。しかし、土の中でじっとしているだけではなく、少しずつ移動し、毎日場所が変わります。


いきもの広場で見つけたカブトムシの幼虫。丸々と太り、栄養をたくわえて春を待ちます

エサキモンキツノカメムシ

 落ち葉の下や樹皮のすき間に隠れ、成虫の姿で冬を越します。春が近づき、あたたかい日差しを浴びると数分で動き回ることができるようになります。とても長い名前ですが、エサキ(昆虫学者の江崎悌三にちなむ)/モンキ(黄色い紋のある)/ツノカメムシ(体の一部がツノのような尖ったカメムシ)と区切るのが名前を覚えるコツです。また、背中の特徴的な愛らしいハート模様は個体によって少しずつ違います。下の写真は「いきもの広場」で見つけた2匹のカメムシ(1個体は展示中)。見比べると違いがわかる……かな?


エサキモンキツノカメムシ2匹。ハート模様が微妙に異なります

ギンヤンマのなかまのヤゴ

 ニュースページで写真をごらんください。このヤゴはどんなトンボになるのでしょう? さまざまな模様や色を手がかりに種類を見わけることができる成虫に比べ、ヤゴの姿だと見分けるのがとても難しい場合があります。体長5センチほどの大きな目が特徴のこのヤゴは、おそらく、秋に発見場所の池を飛び回っていたクロスジギンヤンマのヤゴと思われます(羽化するまで正解かどうかわかりません)。水中で越冬するヤゴの中でも、クロスジギンヤンマのヤゴは、水の中の落ち葉や水草につかまり、えさを少しずつ食べながら春を待ちます。


ギンヤンマのなかまのヤゴ。いきもの広場の池の管理作業の際に見つかりました

ハラビロカマキリの卵嚢

 名前の通り、幅の広いお腹が特徴的なハラビロカマキリは、秋になると直径3センチほどの「卵嚢」に包まれた卵の塊を植物の茎などに産みつけます。スポンジのような卵嚢の中には、200~300個もの卵が入っているとも言われ、春に孵化するまでのあいだ、冬の寒さや乾燥、外敵から卵を守ります。園路で見つかった展示中のハラビロカマキリの卵嚢は同じ色の植物の茎に産みつけられており、非常に見つかりにくくなっています。


ハラビロカマキリの卵嚢。どこにあるかわかるかな?

「いきもの広場」で遊ぼう!

 身近ないきものたちが実際に冬越しをしているようすをじっくり観察できる場所が、井の頭自然文化園の動物園内にある「いきもの広場」です。多様な自然環境を再現し、自然にいきものが集まる広場で、スタッフといっしょにいきものとふれあう楽しみを感じてみませんか。お待ちしています。次回の開催日は2016年3月13日(日)11〜12時です(4月以降は毎週日曜日11〜12時)。


日時限定で開放される「いきもの広場」。三角屋根が目印のアトリエ館のすぐそばです

〔井の頭自然文化園教育普及係 阿部万純〕

(2016年02月26日)


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