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「井の頭自然文化園で見つけたちいさないきもの展たち」のいきものたち[1](※特設展は終了しました)
 └─2015/08/07

 ※「井の頭自然文化園で見つけたちいさないきものたち展」は終了しました

 2015年7月20日にオープンした「井の頭自然文化園で見つけたちいさないきものたち展」。おもに園内で採集された身近ないきものたちを、資料館1階の特設展コーナーで展示しています(お知らせ)。その中から一部を2回にわけてご紹介します。

◎オオスカシバの幼虫
 初夏から秋にかけて、クチナシの葉を探すと出会えるのが、オオスカシバの幼虫です。ピンと伸びたしっぽの角(つの)は、スズメガのなかまの特徴です。また、和名の「大透翅」(オオスカシバ)の由来は、成虫になると同時に鱗粉がすべて落ち、翅が透明になるためです。成虫は昼行性で、チョウのようなストロー状の口をもち、ハチドリのようにホバリング(空中静止)をしながら花の蜜を吸うという、ガの中でも一風変わった生態を持っています。

オオスカシバ 左:幼虫 右:成虫

◎アオダイショウの幼体
 ヘビは本来臆病な性格をしており、石の隙間や地面に潜んでいることがほとんどで、人の気配を感じると逃げてしまう種類が大半です。このアオダイショウの幼体も、ガラスの前面にはなかなか出てきてくれません。もし体の模様をよく観察できたら、ぜひ「リスの小径」の横にいる大人のアオダイショウと比べてみてください。あまり似ていないと感じるかもしれません。ところで幼体の模様、マムシにちょっと似ているように見えませんか? これは、天敵である哺乳類や鳥類から身を守るためともいわれています。

左:アオダイショウの幼体 右:マムシの成体

◎カヤネズミ
 日本のネズミの中で最も小さい種類で、おとなでも体重7~14グラム、大きさも手の平におさまってしまうほどです。カヤネズミは特徴的な「巣作り」をします。カヤネズミの「カヤ」とは、イネ科のススキやチガヤといった細長い草本に代表される植物のこと。地面に巣を作る多くのネズミとことなり、カヤネズミは「カヤ」を使って、地表より高い場所に巣を作ります。植物の「また」に作られた球形の巣は、まるで鳥の巣です。現在展示中のカヤネズミは2015年7月生まれですが、さっそく造巣中。カヤの葉を細く裂いて仕立てる巧みの技を、ぜひ観察してください。

巣の中のカヤネズミ

 「井の頭自然文化園で見つけたちいさないきものたち展」は、あらたに採集されたいきものが増えたり、幼虫が繭になったり、羽化したり、日々変化していきます。また、土曜日・日曜日には飼育・展示担当が見どころを紹介するガイドツアーを実施中ですので、ぜひご参加ください。「井の頭自然文化園で見つけたちいさないきものたち展」は2015年8月23日(日)まで開催します。文化園に訪れた際には、資料館まで足を運んでいただけたらと思います。

〔井の頭自然文化園教育普及係 阿部万純〕

(2015年08月07日)


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