五月晴れの井の頭自然文化園は新緑がまぶしく、動物園(本園)資料館付近ではホオノキの甘い香りが風に乗り、季節が春から夏の始まりに変わるのを感じます。今年は例年より1週間ほど早くホオノキが開花しました。
ホオノキ
このホオノキは幹まわりが約 4.8メートルある大きな木です。1942年5月17日に井の頭自然文化園が開園する以前、井の頭学校があった頃に植えられたといわれています。
ホオノキといえば香りのある大きな花と大きな葉が特長です。1つの花の寿命は2〜5日程度で、花はいっせいには咲かず、つぼみ・花・花後、いろいろな段階が見られます。1本の木の開花期間は長く、約1か月間ごらんになれます。
ホオノキは雌性先熟(しせいせんじゅく)の両性花で、花の咲き始めにめしべが熟し、翌日からおしべが熟す、といわれています。自分の花粉では受粉しない仕組みになっています。花は甘い香りを漂わせますが、蜜は分泌されません。香りで甲虫を誘い、受粉の媒介をさせます。
葉は長さ40センチ程になり、朴葉味噌や朴葉巻などの料理、食器や包装などに利用されています。材としても優れていて、加工が楽で狂いが少なく、寄せ木や彫刻、下駄の歯、家具などに用いられ、人の生活にも関わりの多い植物です。
ウケザキオオヤマレンゲ
ホオノキの近くでは、同じくモクレン科の植物であるウケザキオオヤマレンゲ(オオヤマレンゲとホオノキとの雑種)も例年より早く咲き始め、甘い香りを漂わせています。資料館前ではバナナに似た香りともいわれるカラタネオガタマが蕾つぼみをつけています。5月の井の頭自然文化園で、モクレン科の香りある花をお楽しみください。
園内地図
◎2015年5月17日の開園記念日のために特別企画をご用意しました。ぜひご参加ください。
開園記念日特別企画「農園芸職員と巡る文化園植物ツアー」
日時 2015年5月17日(日)11時30分から(雨天中止)
場所 動物園(本園)正門前集合
◎井の頭自然文化園の
「花ごよみ」5/1号も合わせてごらんください。
〔井の頭自然文化園施設係 星野真一〕
(2015年05月01日)