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ニホンアナグマの冬の朝
 └─2014/12/19

 2014年も残りわずかとなりました。気温もどんどん下がり、寒さもきびしい季節、朝は布団から出るのがおっくうな方もいらっしゃると思いますが、どうやらそれは人間だけではないようで、井の頭自然文化園のニホンアナグマも冬の朝はじっとしています。

 アナグマはヨーロッパとアジアに広く分布するイタチ科の哺乳類。「穴熊」という名前のとおり、地面に複雑なかたちの穴を掘って生活します。ニホンアナグマはアナグマの亜種の一つで、本州・四国・九州にくらしています。

 井の頭自然文化園にはニホンアナグマが5頭います。公開しているのはオスの「ダイフク」とメスの「カステラ」、そしてカステラの子2頭です。ふだん開園前には放飼場に出し、夕方室内に入れています。

 夜行性のアナグマとはいえ、朝扉を開けると、暖かい時期は放飼場に勢いよく飛び出していました。しかし、寒くなった最近は巣箱の中で丸まったままなかなか起きてくれません。飼育係が部屋の鍵を開けたり、扉を開いたりする音を聞いて、ようやく体を起こし、のそのそと外へ向かいます。

 
巣箱で丸くなり、なかなか目覚めない「ダイフク」/目覚めても、巣箱から出てこない「カステラ」


 アナグマは、寒冷地では冬になると冬眠することもあります。井の頭自然文化園では冬眠はしませんが、季節の変化が行動に影響しています。アナグマを観察するときは、季節による違いや、朝のようすも想像してみてください。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 大西一馬〕

(2014年12月19日)


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