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ツシマヤマネコの大移動
 └─2013/11/04

 ツシマヤマネコは1994年、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の「国内希少野生動植物種」に指定され、生息状況の把握、生息環境の維持・改善、飼育下での繁殖等の保護を進めてきました。

 この取り組みは、1996年に福岡市動物園で始まり、2000年4月の初繁殖以降、国内で43頭が生まれています。

 その後繁殖を目指して、井の頭自然文化園、よこはま動物園、富山市ファミリーパーク、佐世保市九十九島動植物園が飼育を開始しました。

 また、展示のみを目的として、沖縄こどもの国、京都市動物園、東山動物園、盛岡市動物公園が飼育しています。

 現在国内では飼育下に31頭いますが、2009年以降4年間繁殖が見られませんでした。

 そこで今回、環境省や飼育施設で検討した結果、個体の高齢化が進んでいることも踏まえ、雌雄を一緒にして繁殖させる機会を高めるため、対馬に近く、気候条件が似ていて、施設的に多くの組合せが試せる福岡市動物園と九十九島動植物園にツシマヤマネコを集めることになりました。2013年10月22日から7園館の中で17頭の移動を始めています。

 井の頭自然文化園からは10月23日、「リリー」(メス、9歳)が福岡市動物園に、「サクラ」(メス、7歳)が九十九島動植物園に旅立ちました。

 また、福岡市動物園からは「ノリ」(メス、10歳)、九十九島動植物園からは「タカラ」(オス、9歳)がやってきました。

 搬出や搬入時は、多少の緊張感を伴いながら捕獲、箱入れ、箱出しをおこなうのですが、今回福岡市動物園からの輸送箱には、『初めてのひこうきです。やさしくおねがいします』と心和ませる言葉が書いてあり、福岡動物園でかわいがられていたんだなと感じました。

 今回旅立ったサクラは2006年11月に生後7か月で当園に来園後、「エビゾウ」「キイチ」「フユト」の3頭のオスと同居させました。2007年10月に3歳で来園したリリーは、「フクタ」と同居を試みました。残念ながら、いずれの場合も交尾にまでいたりませんでした。それぞれの所でのよい知らせが聞けることを願っています。

 このあと、フクタは11月5日に沖縄へ、展示個体のトラジロウは2014年3月に盛岡へ移動の予定です。

(2014年2月25日追記)
 トラジロウは2014年3月13日に旅立ちます。(展示は2014年3月12日までになります)


・2013年10月22日発表「ツシマヤマネコの移動をおこないます」もご覧ください。

写真上:福岡市動物園に移動した「リリー」
写真中:九十九島動植物園に移動した「サクラ」
写真下:輸送箱につけられたメッセージ

〔井の頭自然文化園飼育展示係 佐々木真一〕

(2013年11月04日)
(2014年02月25日更新)



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