ニュース
ユキヒョウへ氷のプレゼント
 └─多摩  2012/08/31

 みなさんは今年の夏をいかがお過ごしですか?

 多摩動物公園のユキヒョウたちは、園内でも1、2を誇る涼しい場所で、昨年取り付けたドライミストのある運動場と、冷房の利いた室内とを出入り自由にして過ごしています。なんともぜいたくな過ごし方ですが、夏の平均最高気温が20℃以下という標高の高い山に住み、寒さを凌ぐために厚い毛皮をまとったユキヒョウにとって、連日30℃を超える東京の夏を乗り切るのは大変なようです。

 ユキヒョウたちが少しでも夏を楽しく過ごせるように、今年の夏はプレゼントを用意しました。彼らの大好きな肉を入れた大きな氷です。

 最初は一番反応してくれそうな、2011年5月25日生まれのオスの「スカイ」メスの「エナ」「アサヒ」の三つ子とその母親「マユ」に与えました。

 運動場に氷を置いてから、ちょっとわくわくしながら親子を外に出します。すると、子どもたちはすぐに氷のところへ行き、みんなで仲良くペロペロ舐め始めます。「よしよし、仲良く食べてるな」と思ったのもつかの間、氷の取り合いでケンカが始まり、それぞれが、ほかの個体に取られないよう、唸り声をあげて牽制しあいます。負けてしまった個体は、少し離れたところでほかの個体が氷を舐めるようすをじっと見ていてます。

 こんなふうに書くと、負けた子が不憫に思われるかもしれませんが、ご心配なく。大きな氷はなかなか溶けないので、先に氷にありついた個体は、ひとしきり氷と格闘すると、とりあえず満足するのか、疲れてしまうのか、氷から離れます。その後は選手交代し、結局みんな氷に向かって飛んだり跳ねたり、大はしゃぎになり、はしゃぎすぎてバテてしまうのではないかと、心配になるほどです。中身の肉には、ありつけたり、ありつけなかったりなので、氷と遊ぶことが重要なのかもしれません。 

 ちなみに、ほかの大人たちの反応は、まったく無視を決め込む個体、ちょっと舐めて確認したあと氷が溶けてから中の肉だけを食べる個体など、さまざまでした。

 氷のプレゼントは夏季限定です。そろそろ9月に向かい、朝晩はほんの少し涼しくなってきましたので、ごらんになりたい方はお早めにおいでください。

※氷のプレゼントは不定期でおこなっています。ごらんになれない日もありますので、ご了承ください。

写真上:みんなで仲良くのとき
写真中上:ひとりじめのとき
写真中下:じっと順番待ちのとき
写真下:「つかまえてやる!」、獲物?

〔多摩動物公園南園飼育展示係 高村里美〕

(2012年08月31日)



ページトップへ