ニュース
魚のゑびす様、トガリエビス──葛西 2006/12/29

 もうすぐお正月ですね。そこで、おめでたい名前の魚を今回ご紹介しましょう。葛西臨海水族園の「世界の海」エリアにある「南シナ海」水槽で展示している魚、トガリエビスです。

 トガリエビスは、ひろい意味ではキンメダイのなかま。さらに分類していくと、イットウダイのなかまに分類されます。イットウダイのなかまは、うろこが大きくて堅いのが特徴のひとつです。インド洋や太平洋のあたたかい海に65種が生息し、そのうち36種が日本近海に分布しています。トガリエビスは、紀伊半島以南のインド洋や太平洋に分布するとされています。

 トガリエビスは、沿岸の岩礁域やサンゴ礁でくらしています。夜行性で、昼間は岩穴やサンゴのすき間に隠れていることが多いのですが、体長は最大で40センチほどにもなり、イットウダイのなかまとしてはもっとも大きい種です。

 トガリエビスはうろこが大きく、また実際堅いので、食べてもおいしくない印象を与えますが、その白身は美味で、沖縄や八重山諸島ではふつうに食用魚として利用されているそうです。

 恵比寿さまは、今でこそ商売繁盛の神様として有名ですが、もともとは漁業や海運に御利益のある、海の神様として信仰されていたのをごぞんじでしょうか? 葛西臨海水族園にもよいことがありますように、と願わずにはいられません。

 エビスの名がつくめでたい魚、トガリエビス。お正月に葛西臨海水族園にいらっしゃった際には、水槽の中をじっくり探してみてください。水槽内ではほとんど泳がず、じっとしていることが多いのです。探すポイントは、水槽内の右側と左側にある「岩穴」です。

 商売、漁業にかかわらず、東京ズーネットをごらんになるみなさんにのご多幸をお祈りしております。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 杉野隆〕

(2006年12月29日)



ページトップへ