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3施設連携オンラインイベント「上野の山で動物めぐり『尾・しっぽ』」を開催しました!(※アーカイブ公開中)
 └─上野 2023/05/27
 2023年5月14日(日)に都立公園開園150周年記念企画 国際博物館の日記念「上野の山で動物めぐり──動物の『尾・しっぽ』」をオンラインで開催しました。

 このイベントは、事前募集で集まった約80組の参加者を対象に、国立科学博物館東京国立博物館、上野動物園の3施設の専門家が動物の「尾・しっぽ」にフォーカスした解説をして、ひとつのテーマを異なる視点から見るおもしろさを体験していただくものでした。

 最初に国立科学博物館の川田研究員が動物の尾がどのように誕生したのか、どこまでが体でどこからが尾なのかなどの基本的な説明をしたあと、「尾の長さにはあるルールが存在するのではないか」という仮説を、モグラのなかまを例に解説しました。そして、ほかの動物でも、土にもぐる動物だと短くなり、水にもぐる動物だと長くなるなど、動物がくらす環境によってさまざまな尾のタイプや役割があることを、骨格標本を用いながら解説しました。


骨格標本を使用した尾の説明

 次に上野動物園の小泉解説員が、実際の動物たちがくらしの中で、さまざまなタイプの尾をどのように使っているのかを動画や尾の標本を用いて解説しました。さらに、それに合わせて科博の川田研究員が尾の骨格標本を出して説明しました。動物園ならではの「生きている動物の動き」と、その中の構造を合わせて知ることで、動物の「尾・しっぽ」の使い方により深く迫ることができました。


実物の尾の標本を使った説明

 最後に東京国立博物館の横山研究員が、美術工芸品の中に登場する動物を紹介し、実在する動物、空想上の動物の尾がそれぞれどのように表現されているのかを解説しました。その中で空想上の動物の尾については、川田研究員と小泉解説員が生物学的な視点からの意見を出してトークを展開しました。参加者のみなさんも、これらの動物の尾の動きや使い方などについて、いろいろな想像ができたのではないでしょうか。


美術工芸品に描かれた空想上の動物の説明

 講演のあとには参加者のみなさんに、こんな尾があったら面白い、自分が欲しいと思う尾を絵に描いて見せていただき、3人の講師がそれぞれについてコメントしました。通常は水中での舵の役割をし、天敵が現れたときにはトゲ型に変形する尾など、ユニークな尾がたくさん出されました。


参加者が考えて描いた尾の絵

 動物たちの尾のつくりや役割を理解し、それを踏まえて美術品を鑑賞することで、「この尾だとどんな使い方をするだろう?」「こんな尾があったらいいな」と想像を膨らますことのできる、とても楽しいイベントになりました。

 本講演は、東京ズーネットYouTubeチャンネルにてアーカイブを公開しています。当日ご参加になれなかったみなさまも、多角的な視点から見る「尾・しっぽ」の世界をぜひお楽しみください。


※若干ですが、映像や音声、コメントなどが追加されています。


東京国立博物館で特集展示「親と子のギャラリー 尾・しっぽ」を開催中!

 東京国立博物館では特集展示として「親と子のギャラリー 尾・しっぽ」を開催中です。会場に入ると、この展示の目玉の1つでもある「緑釉犬りょくゆういぬ」という美術工芸品がお出迎えしています。

企画展の入り口
「緑釉犬」
後漢時代・2~3世紀 陶製
(場所:東京国立博物館)

 展示室内には、第1部では哺乳類、第2部では鳥類、爬虫類、魚類、空想上の動物が描かれた美術工芸品が並び、尾がどのように描かれているのか説明されています。講演の中にも登場した「猫図」や「自在蛇置物」が展示されているほか、上野動物園からはキリンやクモザルの尾の剥製標本や、実際の動物がどのように尾を使っているのかがわかる映像を出品しているため、作品と実物を比較しながら見ることのできる展示となっています。

展示室内
上野動物園から出品した尾の標本
(場所:東京国立博物館)



※特集展示の詳細は、東京国立博物館の特設サイトをご覧ください。

期間 2023年4月25日(火)~2023年6月4日(日)
場所 東京国立博物館 平成館 企画展示室

〔上野動物園教育普及係〕

(2023年05月27日)



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