動物園の新しい施設は、よりよく動物をご覧いただくために、大きなガラス面を設置することがあります。しかし、自由に飛び回る野鳥にとって、これは大きな脅威となることもあります。
きれいに磨かれたガラスは、飛んでいる鳥たちには何もない空間に見えたり、鏡のように反射して樹木があるかのように見えたりしてしまいます。上野動物園でも年間数十羽の鳥が衝突してしまい、なかには死亡するものもいます。
この衝突事故を防ぐため、上野動物園ではバードセイバー(野鳥の衝突防止シール)を屋外のガラス面に貼る取組みを進めています。
よく猛禽のイラストを貼った窓をご覧になることがあるかと思いますが、実は1枚貼っただけでは効果はあまりないと言われています。鳥たちがよく認識でき、通り抜けることをためらうものを貼ることが効果的とされています。
動物たちをご覧いただく際に「邪魔だなあ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、野鳥を守りつつ、展示・観覧環境も維持するための取組みです。どうかご理解ください
クロシロエリマキキツネザル舎の取組み
2022年1月に、西園「アイアイの森」のクロシロエリマキキツネザル舎に樹木と葉をデザインしたシールを貼りました。ガラスの外側の面に、15㎝以内(おおよそ広げたてのひらより小さい)の間隔で貼ったものです。
この結果、これまで年に複数見られた衝突数が激減し、これまでのところ天候不順の視界不良時に衝突したと見られる1羽のみとなっています。

クロシロエリマキキツネザル舎
「パンダのもり」の取組み
2022年10月に、西園「パンダのもり」に竹林をイメージしたシートを貼りました。「パンダのもり」でも、非常に大きなガラス面があることから、一定数の衝突が見られていました。今後、数が減ることを期待しています。
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シートを貼る前 | シートを貼った後 |
(2022年10月29日)