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ライオン園の再オープンに向けて、その2
 └─多摩  2020/08/07

 多摩動物公園のライオンバスが2016年4月に運休してから4年が経過しました。現在、再オープンへ向けての整備工事が最終段階に入り、まもなく終了する予定です(関連ニュース「ライオン園の再オープンに向けて」)。


ライオン園の状況

 ただし、工事が終了してもすぐにライオンバスが再運行できるわけではありません。展示していたライオンたちも高齢化が進み、群れの再構築が必要です。サファリ橋の下にある非展示施設としての「小放飼場」や運休中の展示エリアとして使用していた「仮設放飼場」は面積が狭く、他個体から逃げるスペースがないため、新たな個体との「お見合い」ができませんでした。今後時間をかけて、展示群を再構成していく予定です。また、あらたなコースに応じてライオン園内を安全に運行するための練習も必要です。

 ライオンは誰もが知る「猛獣中の猛獣」なので、安全のためには念には念を入れた対策が必要です。現在、再運行へ向けて、慎重に準備を進めており、まだしばらく時間がかかりそうです。

 昨年(2019年)12月には仮設放飼場での展示も休止しました(展示休止のお知らせ)。また、臨時休園期間もあったため、来園者から見えないスペースでの個体の状況もだいぶ変化しました。

 まず、工事前のバス運行時の展示群だった「カイト」「ロック」「レボ」3兄弟のうち、カイトとロックは老衰のため死亡し、レボは加齢による足腰の衰えが顕著になり、歩き方もおぼつかなくなりました。1頭だけになってしまったためか、威嚇のために吠えることもまれで、すっかりおとなしくなってしまいました。外見的にもたてがみが薄くなった印象があり、体全体が一回り小さくなったように見えます。


最近のケイコ

 メスの中で年齢を重ねた印象が顕著なのが「ケイコ」です。ホルモンバランスの崩れが原因と思われますが、若オスと見間違うようなたてがみが生え始めました。とくに今年の3月末頃から目立ち始め、徐々に増えてきています。以前は、誰を同室にしようか選定に悩むほどは給餌の際にケイコは他個体に対して威嚇や攻撃が激しかったのですが、現在では逆におびえる立場になってしまいました。いちばん若いメスにもおびえるようになったため、給餌の際に同室させる個体はケイコの姉妹か娘に限っています。

 メス全体の力関係は、ここで書き綴るのが難しいほど日々変化してきました。新しい群れにも関係性の変化が予想されますが、担当者側でも臨機応変に対処し、ライオンにとって少しでも幸せな状態を作り出すとともに、見ごたえのある群れの構築を目指しています。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 髙橋孝太郎〕

(2020年08月07日)



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