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エミューの繁殖と「マル」の来園:今後に向けて
 └─多摩  2020/07/17

 前回の記事で、多摩動物公園のエミューのオスが60日間卵を温め、さらに子育てもオスがおこなうことをご紹介しました。その後のようすと今後の予定についてご紹介します。

 お伝えしたとおり、オスの「アジット」に擬卵(つくり物の卵)を抱かせていたところ、メスが卵を産み足しました。割れてしまわないよう、2020年1月11日以降、何度かにわたって回収し、1月16日には孵卵器に入れました。


3月23日に孵化したひなと擬卵を抱いているアジット

 52日目には3個の卵から鳴き声が聞こえ、嘴打ち(ひなが中から卵の殻を割る行動)も始まっため、3個ともアジットの巣に戻しました。その後3羽とも孵化しましたが、残念ながら2羽は死亡、もう1羽は数日後に何らかの動物に連れ去られてしまいました。

 ひなが連れ去られた日からアジットがワカメに攻撃をするようになりました。アジットは暑い中でも走り回り、熱中症を引き起こす危険性があるため、飼育舎の裏に隔離することにしました。

メス「マル」の来園

 多摩動物公園が臨時休園中だっが2020年5月22日、大阪府の総合遊園地みさき公園からエミューのメス1羽が来園しました。多摩動物公園でも、みさき公園での愛称「マル」をそのまま使うことにしました。


来園したメスのマル

 マルは多摩動物公園の飼育個体に比べると頭部が黒く、黒目も大きい印象を受けました。まだ放飼場に慣れていないらしく、来園者の側から見て放飼場の奥の方によくいます。

繁殖に向けて

 現在、オスとメスを分け、メスを放飼場に出して飼育しているため、繁殖期には同居させる必要があります。繁殖期は12月ごろなので、9月や10月に入って涼しくなってきたら放飼場にオスを入れる予定です。

 同居させるペアは昨年まで「アジットとエヴァ」または「アジットとワカメ」だったのですが、エヴァは高齢(34歳)なのでいつまで産卵できるかわからず、また、アジットとワカメは血縁関係にあるので繁殖にはあまり適していません。今後は、群れの遺伝的な多様性を維持するために、血縁関係のないアジットとマルをペアにして繁殖を進めていく予定です。

 来年3月、かわいいひなの姿をみなさんにお見せできるよう、取り組んでいきます。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 高橋琉河〕

(2020年07月17日)



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