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アフリカゾウの「アコ」来園51年
 └─多摩  2019/01/11

 アフリカゾウのメス「アコ」がアフリカから多摩動物公園に来園したのは1967年7月。それからじつに51年以上が経ちました。当時推定3歳だったアコも、長い年月を当園で過ごし、今や日本国内最高齢のアフリカゾウです。現在のゾウ舎への引越し(1995年)、いっしょにアフリカから来園した「マコ」との別れ(2011年死亡)、新しいゾウたちとの出会いを経て、今にいたります(下記「関連ニュース」もご覧ください)。そんなアコの近況をお伝えしましょう。

1968年頃のアコ
アコ(2018年12月31日撮影)

 毎朝、ゾウ舎に到着した飼育担当者は、ゾウたちに挨拶しながら部屋のようすや健康状態を観察します。アコは人が好きなゾウなので、機嫌のよい時は「グルルル~」と小さな声を発して係員の方へ寄ってきます。逆に落ち着かないようすのときは何らかの原因が考えられますが、体調が悪くないかぎりはアコのペースに任せ、なるべく安心できる環境作りを心がけています。

 毎日「チーキ」(メス、推定43歳)が隣の部屋にやって来ると、アコは鼻を伸ばして挨拶をします。これにチーキも近づいて応じます。ゾウは仲間とのコミュニケーションを大事にする動物なのです。

 運動場に出たアコは、えさを食べ、散策や土浴をしながらマイペースに過ごします。ときには、PCW(準間接飼育におけるトレーニング用の柵)に移動して、四肢や耳を出す練習をします。ただし、今は周囲の工事音が大きくアコが落ち着かない日もあるため、トレーニングは無理せず進めています。

 多摩動物公園でのアフリカゾウの主食は、イネ科の乾牧草、カシの枝、ワラなど、繊維質が豊富な粗飼料ですが、トレーニングの際はゾウのやる気を引き出すために、サツマイモ、食パン、バナナ、オレンジなど、嗜好性の高いえさを使います。さらにアコが好きなのは、夕方与える玄米おにぎりです。玄米は素早くエネルギー源となり、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれているので、アコの健康維持に一役買っているはずです。

 また、室内で飲む豆乳もアコの好物です。約20リットルの豆乳を、2回に分けて鼻で吸い、口に運びます。ゾウの鼻には骨がなく、筋肉でできているので自在に動きます。鼻の重さは体重の約5%といわれています。アコの体重は推定4~4.5トンなので、鼻の重量だけで200kg前後ある計算になります。眠る時、アコは立ったまま鼻先を床についてリラックスし、一晩に6~7時間ほど休みます。

 現在アコの体調に問題は見られず、毎日を穏やかに過ごしています。これからもアコが安心してくらせるよう、飼育担当一同、注意深く見守っていきます。

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〔多摩動物公園北園飼育展示係 吉川道子〕

(2019年01月11日)


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