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美しく繊細な魚、タチウオ
 └─葛西  2018/10/19

 葛西臨海水族園は2018年10月6日、「深海の生物」コーナーでタチウオの展示を再開しました。

 水槽内のタチウオは頭を上にして立ち泳ぎのような姿勢で等間隔に並んで泳いでいます。その姿を目にした来園者から「立って泳ぐからタチウオなんだねー」という感想が聞こえてきます。しかし、タチウオは漢字で書くと「太刀魚」。本当の由来は姿かたちが刀剣に似ているからだと言われています。そして銀色に光を反射するとても幻想的で美しいその体の色は、ギラリと光る日本刀をイメージさせます。

 じつは、タチウオは飼育するにあたってとても慎重にならなければいけない魚の一つです。タチウオにはうろこがありません。直接手で触ってしまうと体表の銀色の膜がベロっとはがれてしまうほど、とても繊細で傷つきやすいのです。水槽に入れるときも直接触らないようにします。水槽の中でも、壁に体を擦りつけながら泳いでしまうとそこが傷になってしまいます。照明などを変えた結果、泳ぎは安定するようになってきましたが、まだまだ工夫が必要です。
 えさを食べさせるのにもとても手がかかります。タチウオの口は大きく、鋭い歯が生えており、おもに水中を泳いでいる魚類やエビ類などを捕らえて食べています。しかし、生きている生物を安定して用意することは難しく、鮮魚などのえさに慣らす必要があるのですが、これが簡単ではありません。気に入る種類や大きさを試行錯誤しています。また、えさかどうか判断するのにも時間がかかるようなので、えさが水中を漂う時間が長くなるよう形も考えて準備しています。

 現在、鮮魚などのえさに慣らしている途中ですが、ようやく食べてくれるようになってきました。日本刀のように美しいタチウオの姿を元気な状態でみなさんに見ていただけるよう、工夫を続けていきます。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 市川啓介〕
 

(2018年10月19日)


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