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多摩動物公園開園60周年の歴史を垣間見る
 └─多摩  2018/04/27

 いよいよ今年(2018年)の5月5日は、多摩動物公園開園60周年を迎える記念日です。人間で言えば還暦のお祝いとなりますが、最近は赤いちゃんちゃんこでお祝いする姿はトンと見かけません。それほど60歳は若いのです。動物園だって同じです。まだまだひよっこです。とはいえそれなりの歴史を積み重ねてきたので、今回はちょっと大げさですが歴史探訪に出かけて見ましょう。

ツタの絡まった記念碑
記念碑の裏には土地の提供者や
関係者の名が刻まれている

 多摩動物公園駅前の「京王れーるランド」の隣にある京王第二駐車場の奥まったところに写真のような石碑があるのをご存知ですか? おそらく動物園の職員にもこの存在を知っている者はあまりいないのではないでしょうか。

 1966年(昭和41年)、日野観光協会が建てた記念碑には以下のような銘文が記されています。

事の成るは成る日に成らずと、多摩動物公園建設については七か年の日子を費やし三代の村長を経て九十有余人の土地協力により、また京王帝都電鉄会社の出資によって実現したが開園までの地元の苦心と地主の協力は並々ならないものがある。この公営事業の裏に民間協力者の大きな力があった事は時の流れと共に忘れられようとしている。そこで当時の関係者を碑に録して記念するものである

 碑には96名の関係者・協力者が刻まれています。

 当初は駅前広場に建っていましたが、「京王れーるランド」の整備のため、今の場所に移動しました。公園計画の話が持ち上がってわずか4年間で土地を買収し、整備工事から2年数か月で開園にこぎつける。まったく驚異的なスピードです。現在でも公共事業はまず土地買収に歳月を費やすのが常ですが、開園当時の規模で約28.7ヘクタール、東京ドーム6個分の土地を取りまとめるとは、いかに地元の方々の協力を得ていたかをうかがい知ることができます。

 上野動物園の第二動物園として、上野で溢れかえる入園者対策として、動物にとって繁殖に適した広大な敷地を求めて、地域の経済活性化として、などさまざまな期待を担って発展してきた多摩動物公園です。これからもますます広くみなさんに愛される動物園でありたいと思います。

 私は忘れていませんよ。この九十有余人の方々の志はしっかりと受け止めて61年目を突き進んでいきます。

 この機会に、あまり知られていないちょっと隠れた多摩動物公園の歴史を引き続き紹介していきましょうか。ただし私は遅筆なので不定期になりますが……。

〔多摩動物公園長 永井清〕

(2018年04月27日)


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