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希少種ヒメフチトリゲンゴロウの初展示
 └─多摩  2017/01/13

 2017年1月2日から多摩動物公園昆虫園本館1階の「水生昆虫コーナー」でヒメフチトリゲンゴロウの展示を始めました。昆虫園では初めての展示です。


 ヒメフチトリゲンゴロウは、日本では西表島や石垣島などの南西諸島(奄美大島以南)の池沼や水田に生息しています。環境省のレッドリストでは「絶滅危惧II類」に指定される希少種です。西表島では生息地がもはや数か所に限られ、個体数が激減しています。池の乾燥が進んだり、湿地が少なくなったりして、水場が失われることが減少の原因と考えられています。

 展示を始めたヒメフチトリゲンゴロウは、2015年7月に石垣島の展示生物調査で採集した幼虫が羽化し、繁殖した個体です。採集した9匹の幼虫のうち、6匹(オス2匹、メス4匹)が羽化し、昨年2016年に交尾と産卵が見られ、成虫が30匹にまで増えました。

 動物園への搬入後、ここまで1年以上かかりましたが、室内での繁殖が可能と判明し、展示と累代飼育を維持していくために十分な個体数が得られたため、展示することにしました。

 水生昆虫コーナーでは、ヒメフチトリゲンゴロウのほかに、ゲンゴロウやコガタノゲンゴロウ、クロゲンゴロウを展示しています。ヒメフチトリゲンゴロウはコガタノゲンゴロウよりも大きく、ゲンゴロウより小さい種類で、大きさの違いはあるものの、姿形はそっくりです。しかし、よく観察すると腹側の色や体色などが微妙に違います。

 展示水槽前の解説パネルで3種の違いをご紹介しています。ぜひ「ゲンゴロウくらべ」をしてみてください。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕

(2017年01月13日)


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