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アメンボのにおいは……
 └─多摩  2016/03/18

 多摩動物公園の昆虫園本館の2階、ハチの模型の隣には、アメンボが展示されています。今は成虫が10匹ほど、そして最近孵化した体長2ミリくらいの幼虫がたくさん見られます。

 アメンボはカメムシやセミと同じように半翅目(はんしもく)の昆虫です。半翅目の特徴の一つは、ストローのような刺す口をもっていることです。小さいので見づらいかもしれませんが、よく観察してみるとアメンボもこのような口をもっていることがわかります。この口を小さい昆虫の体に刺して消化液を送り込み、内臓を溶かして吸うのです。


 カメムシと聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、においではないでしょうか。じつは、アメンボもにおいを出します。どんなにおいがするのかというと、「アメンボ」という名前にそのヒントが隠されています。

 アメンボの名前の由来にはいくつか説があるようですが、その一つが「飴のようなにおいを出すので『アメ』ンボ」というものです。実際に捕まえて刺激すると、飴のようなにおいがするそうです。カメムシのように嫌なにおいではなく、どちらかというと、よいにおいに感じられそうです。

 私もそのにおいを嗅いでみたくて、手でつまんで刺激してみました。しかし、何度やっても飴のにおいを感じられません。私の鼻が鈍感なのか、やり方が悪いのか、それとも累代飼育している個体だったからなのか。謎です。

 野外の個体で試してみたいところですが、今の時期、水辺にはアメンボは見られません。冬の間は水面から移動して陸上の落ち葉の下や倒木の隙間などで冬眠しているはずです。これから暖かくなってくると目を覚まし、水辺に戻ってきます。東京のこのあたりだと、だいたい桜が咲く時期になってからでしょうか。そのころになってアメンボを見つけたら、野生個体でもう一度挑戦してみたいと思っています。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 草野啓一〕

(2016年03月18日)


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