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北海道和種馬、初めての東京の夏
 └─多摩  2014/07/04

 多摩動物公園の日本在来馬「北海道和種」の桃太郎と仁太郎が北海道から来園して7か月ほど経ちました。

「道産子『桃太郎』と『仁太郎』登場」(2014年02月07日)

 2頭が住んでいた北海道にはもともと馬は存在せず、1600年頃に青森、岩手から渡った南部馬が起源だといわれています。昔は各地で風土にあった在来馬が飼われ、農耕や運搬などに活用されていました。しかし、軍馬を増産する目的で、体格の大きい洋馬種との交配が国の政策でおこなわれ、多くの在来馬が姿を消してしまいました。

 現在は在来馬8種を全部合わせても約2,000頭しかおらず、管理されていた方の高齢化や、活用の場の消失などにより絶滅の危機にあります。保全には在来馬の貴重性を知ってもらうことや、活用の場を見出すことも重要な取り組みです。

 さて、多摩で飼育している北海道和種は、現在冬毛から夏毛に換毛の最中です。北海道和種は在来馬の中でもとくに毛色のバラエティに富んでおり、実際に来園した当初、桃太郎は全身白色、仁太郎は濃い茶色とまったく違った色をしていました。

 桃太郎の毛色は月毛(つきげ)といいます。冬はまっ白な長毛が、夏になると徐々に抜けてクリーム色の短毛に変わります。

 仁太郎は栗粕毛(くりかすげ)という毛色で、冬は濃い茶色の長毛ですが、夏になると白い毛が首、胴体、四肢の上部を中心に茶色と混じるように生え揃います。面白いのは徐々に白い毛が生えて茶色と混じるのではなく、一度胴体が白い毛で覆われたかと思うと、またその毛が抜け落ち茶色との混合色になりました。

 5月に入り徐々に暖かくなってくると、ブラッシングをした際に大量の冬毛が毎日のように抜け落ちるようになりました。現在は抜け毛も少なくなり、ほとんど夏毛に変わっています。2頭は東京の猛暑が初体験なので、飼育担当者も早めの換毛を促すとともに、少しでも暑さが和らぐよう水を撒いたり、扇風機を設置するなどのくふうをしています。

 季節の移り変わりとともに、動物たちの見た目が大きく変わるところにも注目していただくとより楽しめると思います。

写真上:来園したころの仁太郎
写真下:現在の仁太郎

〔多摩動物公園南園飼育展示係 野村星矢〕

(2014年07月04日)



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